チャットボットの種類は、切り口によってさまざまな分類方法がありますが、「精度」「役割」「プラットフォーム」の切り口で分けると、以下のとおりです。
これからチャットボットの導入を考えているのなら、チャットボットの種類を把握することは必須です。しかし、チャットボットの種類には、さまざまな分類方法が混在しているため、多くの方が混乱してしまいます。
プログラミングの知識がある人から見れば当たり前のことも、そうではない企業のチャットボット導入担当者の方にとっては、難解に思えるものです。
そこで、本記事では、チャットボットの種類について、できる限り平易に解説します。
本記事のポイント
- チャットボットの種類を3つの切り口からスッキリ理解
- 種類ごとの特徴を詳しく解説
- 自社で選ぶべき種類がどれなのかわかる
「専門知識はないけれど、チャットボットの種類を把握したい」
「自社に最適なチャットボットの種類を知りたい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、「チャットボットの種類」はもちろん、チャットボットの全体像までつかめるはずです。業務でチャットボットを活用するうえで、大いに役立つでしょう。
ではさっそく、チャットボットの種類を解説します。
1. 精度別に見るチャットボットの2つの種類
冒頭でも触れたとおり、チャットボットの種類の分け方には多様な切り口がありますが、まずチャットボットの「精度」という切り口で分けてみましょう。
精度によってチャットボットを分類すると、大きくAIなし(人工無能)・AIあり(人工知能)の2つに分けられます。
1-1. AIなし/人工無能
1つめの種類は「AIなし/人工無能」です。
AIが搭載されていないチャットボットは「人工無能」とも呼ばれます。あらかじめ運用者の人間が定めたルールやシナリオの範囲内で会話するのが、AIなしのチャットボットです。
例えば、ユーザーが「開店時間」と入力したら、チャットボットは「10時です」と返答するというように、事前に定めた決まり通りの会話をします。
AIなしチャットボットのメリットは、比較的コストを抑えて導入ができる点です。
デメリットは、運用者がルールやシナリオを定める手間がかかることと、ルールやシナリオが充実していないと適切な返答ができないことです。
つまり、コストは安いけれど手間がかかり、精度も高くないのがAIなしチャットボットの特徴といえます。
1-2. AIあり/人工知能
2つめの種類は「AIあり/人工知能」です。
AI(人工知能)とは、人間の脳が持つ知的機能をコンピューターで機械的に実現するシステムのことです。
運用者が定めたルールやシナリオを超えて、AIが自らユーザーの意図を解釈したり、過去の会話から学習してより適切な返答を返したりできるのが、AIありのチャットボットの特徴です。
「キャンペーン」というワードを例に取れば、「キャンペーンはいつから?」「キャンペーンのページはどこ?」「セールはやってる?」など、ユーザーによって意図や表現方法が異なります。
AIありのチャットボットでは、ユーザーからの問いかけをAIが解析し、まるで人間と会話しているかのように自然な返答が可能です。この精度の高さが、AIチャットボットの最大のメリットといえます。
逆にデメリットは、AIなしのチャットボットに比較するとコストがかかる点です。例えば、AIなしのチャットボットサービスであれば無料で提供されているものもありますが、AIチャットボットは基本的に有料です。
AIありのチャットボットについて詳しくは「AIチャットボット」にて解説していますので、あわせてご覧ください。
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2. 役割別に見るチャットボットの3つの種類
次に、チャットボットの種類を「役割」で分けると、雑談型・FAQ型・アシスタント型の3種類になります。
2-1. 雑談型
「雑談型」のチャットボットは、とりとめもない話をするためのチャットボットです。
雑談型のチャットボットは、ユーザーの役に立つというよりは、心の拠りどころとなったり友だちのような存在になったり、人間と心の通うコミュニケーションを実現することを目指しているのが特徴といえます。
雑談型の有名なチャットボットには「りんな」があります。
出典:りんな
りんなとは、2015年8月に「女子高生」という設定で登場したチャットボットです(現在は高校を卒業済み)。
平成・マイクロソフト生まれ。2015年8月にLINEに初登場して以降、リアルな女子高生感が反映されたマシンガントークと、そのキュートな後ろ姿、類まれなレスポンス速度が話題を集め、男女問わず学生ファンを中心に認知が浸透。
2019年3月に高校を卒業、2020年夏にマイクロソフトから独立した。登録ユーザー数は830万人を突破(2020年8月)。
出典:りんな
以下は「りんな」とLINEで雑談している様子です。
りんなを前章でご紹介した“精度”の切り口で見ると、「AI(人工知能)ありのチャットボット」になります。りんなのさまざまな設定は、開発チームが定めたものではなく、開発チームがりんな自身に話しかけながら決めていったものです。
りんなの他にも、例えば渋谷区に住む小学生の男の子「渋谷みらい」など、さまざま雑談型のチャットボットが登場しています。
出典:住民AI 渋谷 みらい
人間とロボットの中間のような、不思議な存在のチャットボットに多くの人々が愛着を持ち、毎日たくさんの会話を繰り広げています。
2-2. FAQ型
「FAQ型」のチャットボットは、ユーザーから受け取ったメッセージに対して、データベースの中から適切な回答を返信する種類のチャットボットです。
現在、企業においてビジネス利用の導入が急速に進んでいる種類のチャットボットは、このFAQ型です。カスタマーサポート、予約・購入・申し込みなど、人間が行っているさまざまな対応業務を自動化できます。
▼ FAQ型のチャットボットの活用事例
- カスタマーサポート
- 予約・購入・申し込み受付
- 社内ヘルプデスク
- 社内ナレッジ共有
FAQ型のチャットボットのなかには、AIあり・なし両方があります。
決まり切ったシナリオ(選択式)で進めることのできる業務であれば、AIなしのチャットボットでも対応が可能です。例えば、美容院の来院予約受付などです。
一方、ユーザーの意図をくみ取って、ユーザーのニーズに合った返答を柔軟に行ったり、過去の会話データから学習したりするためには、AIありのチャットボットが必要になります。
2-3. アシスタント型
「アシスタント型」のチャットボットは、特定のタスクをアシスタントするチャットボットです。
アシスタント型のチャットボットの具体例としては、スマートスピーカー(AIスピーカー)が挙げられます。例えば、Appleの「Siri」、Googleの「Googleアシスタント」、Amazonの「Alexa」は、アシスタント型チャットボットです。
音楽をかける、天気予報を教える、必要な商品を注文する──、などスマートスピーカーに向かって話変えるだけで、アスタント型のチャットボットがユーザーの行動を手助けしてくれます。
アシスタント型のチャットボットがこのまま進化していけば、まさに「ロボット」が人間の生活をサポートしてくれる世界がやってくるでしょう。
3. プラットフォーム別に見るチャットボットの4つの種類
最後に「プラットフォーム」の切り口で分類したチャットボットの種類をご紹介します。ここでいうプラットフォームとは、チャットボットが動作するユーザー側の環境のことです。
主なプラットフォームには、LINE・Facebook・Slack・自社環境があります。
3-1. LINE
LINEでは、LINEボットの利用が可能になるAPIを提供しています。APIとは、ごく簡単にいえばあるプログラムや機能を誰でも利用できるように共有する仕組みです。
つまり、チャットボット向けにAPIが公開されているサービスであれば、チャットボットのシステムとつなぐことができます。
国内ではLINEのAPIを利用したチャットボットが数多く登場しています。前述の雑談型チャットボットである「りんな」や「渋谷みらい」も、LINE上で作動するチャットボットです。ユーザーは、リアルの友だちとLINEでやり取りするのと同じ感覚で、チャットボットと会話ができます。
国内の、特に若年層の世代では、最もなじみやすいのがLINEのチャットボットといえるでしょう。
3-2. Facebook メッセンジャー
グローバルに目を向けると、活用事例が多いのがFacebookメッセンジャーのチャットボットです。
Facebookではいち早くAPIを公開しており、世界中でたくさんのチャットボットが、Facebookメッセンジャーで会話をおこなっています。
Facebookは、全世界でおよそ25億人が利用しているといわれます。グローバルに展開している企業では、Facebookメッセジャーを利用するケースが多くなっています。
3-3. Slack
ビジネスを効率化するためのチャットボットとして人気なプラットフォームはSlackです。
Slackは、ビジネスでチームとコミュニケーションを図るために特化したチャットツールで、ユーザー数は全世界で1,000万人を超えています。
多くの開発者が利用しているツールでもあり、開発者が自分の仕事を効率化するためにチャットボットを開発しているケースが多く見られます。
社内でSlackを採用している企業で、社内サポート用のチャットボットを導入する場合には、Slackが向いているでしょう。
3-4. 自社環境
最後に、既存のプラットフォームのAPIを利用せずに、自社環境で作動するチャットボットもあります。
例えば、ECサイトのFAQページに設置するチャットボットや、自社で提供しているスマホアプリ内で動作するチャットボットなどです。
なお、動作環境はクラウドで構築するのが一般的です。オンプレミス環境での構築が必要な場合は、オンプレミスでも構築可能なチャットボットシステムを選ぶ必要があります。※
※弊社のAIチャットボット「Neurox(ニューロックス)」はオンプレミスでも構築可能です。
チャットボット選定で“絶対に外せない”3つの確認ポイントとは?
本資料(無料 eBook)をご覧頂ければ、以下の事がスムーズに出来る様になります。
- 選定候補のAIチャットボットを客観的に比較する事
- 実機トライアルで準備・確認すべき事
- 自社に最適なサービスを見つけ、失敗せずに導入する事
4. チャットボットの種類と選び方
ここまでにご紹介したチャットボットの種類をもとに、選び方をまとめると、以下のとおりとなります。
まず、企業でビジネス用途としてチャットボットを導入する際には、役割は「FAQ型」がほとんどです。
あとは、精度とプラットフォームを選べば、チャットボットの種類が決められます。
必要な精度は、チャットボットによって何をしたいかによって大きく変わります。まずは、チャットボット導入の目的や用途を明確化しましょう。
決まり切ったシナリオで進められる業務ならAIなし、高精度が必要な業務ならAIありを選びます。
プラットフォームは、どんなユーザーが利用するかによって選んでください。1つだけ選ぶのではなく、状況にとって2つ以上を併用する企業も多く見られます。
種類が決まったら、具体的にどのチャットボットシステム・サービスを利用するかを検討するフェーズに入ります。さらに詳しいチャットボットの選び方は、「チャットボット 比較」の記事をご覧ください。
5. まとめ
チャットボットの種類を、精度・役割・プラットフォームの3つの切り口で分けると、以下のとおりです。
1. 精度
- AIなし/人工無能
- AIあり/人工知能
2. 役割
- 雑談型
- FAQ型
- アシスタント型
3. プラットフォーム
- LINE
- Facebook メッセンジャー
- Slack
- 自社環境
チャットボットの種類を選ぶうえでは、まずチャットボットを導入する目的や用途を明確にして、適切な種類を選びましょう。
種類の選び方がよくわからない場合には、「無料相談・お問合せ」からお気軽にお問い合わせください。無記名でもご相談を受け付けています。
種類が決まり、さらに具体的に導入するチャットボットサービスを決めたい方は、続けて「チャットボット 比較」の記事をご覧ください。