「チャットボットを比較検討したい」と思っても、チャットボットの数が多すぎて困っていませんか。
そもそも、「どのポイントを比較したら良いのか、よくわからない」という方も多いでしょう。
そんな方へ本記事でご紹介したいのは、「チャットボット比較のやり方」です。
比較検討する前に必要な準備とチャットボットを比較するポイントを詳しく解説します。
本記事のポイント
- チャットボット比較をスタートする前準備から解説
- どのポイントを注視して比較すれば良いかわかる
- チャットボット選びに失敗しない知識が身につく
「初めてチャットボットを選ぶので、基本から知りたい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説をお読みいただいてからチャットボットを比較すると、自社に合うチャットボットがどれなのか、スムーズにわかるようになるはずです。比較判断するために必要な視点が身につくためです。
なお、注意点として、具体的なサービス比較は本記事では行っていません。具体的なサービス比較をお探しの方には「AIチャットボット 比較」の記事がおすすめです。
ではさっそく、チャットボット比較をスタートする前の準備から解説します。
1. チャットボット比較をスタートする前の準備
チャットボットの比較をスタートする前には、準備が必要です。いきなり比較しても、見るべきポイントがわからないためです。
というのは、“チャットボットの良し悪し”の評価は、「チャットボットを使って何をしたいか」によって180度変わってしまいます。
まずは、「うちの会社にとって良いチャットボット・良くないチャットボット」を判断するための準備を行いましょう。具体的な方法を2ステップでご紹介します。
1-1. 【ステップ1】6W2Hで導入したいチャットボットを明確にする
まず、導入したいチャットボットを明確にします。まだイメージが抽象的な場合に便利なのが「6W2H」のフレームワークです。
「何を(What)」「誰が(Who)」「誰に(Whom)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「なぜ(Why)」「どうやって(How)」「いくらで(How much)」の8つの視点でチャットボットを整理し、具体化しましょう。
▼ 例:チャットボットの6W2H
何を(What) | サービスに関するFAQ |
誰が(Who) | カスタマーサポート事業部 |
誰に(Whom) | サービスのエンドユーザー |
いつ(When) | 2021年4月1日から |
どこで(Where) | 自社ECサイト |
なぜ(Why) | 顧客の満足度向上 |
どうやって(How) | 高精度のAIチャットボットを利用 |
いくらで(How much) | 初期費用50万円・月間料金10万円 |
1-2. 【ステップ2】制約条件を洗い出す
次に、制約条件を洗い出しましょう。「〜でなければならない」「●●の要件を満たしている必要がある」など、あらかじめ決まっている条件を洗い出します。
この制約の洗い出しを最初にしておかないと、いざチャットボットを導入しようとしたときに「全部やり直し!」という、大きなロスが発生してしまいます。すでに開発を依頼していた場合、開発費用が二重にかかることにもなりかねません。
制約条件の具体例は企業によって異なりますが、例えば満たすべきセキュリティ要件や、既存の基幹システムとの連携、実行環境の制限などが挙げられます。
チャットボットの導入を進めている部署や担当者だけでは把握しきれない制約条件が多くあります。チャットボットの検討をスタートしたら、できるだけ早いタイミングで、他部署を巻き込んで条件を確認しましょう。
以上の2ステップで、チャットボット比較の準備は完了です。次は、いよいよ比較の実践に入ります。
「自社で導入したいチャットボット」に合うチャットボットはどれか?」と考えながら読み進めてください。
チャットボット選定で“絶対に外せない”3つの確認ポイントとは?
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- 選定候補のAIチャットボットを客観的に比較する事
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2. チャットボット比較(1)AIあり/AIなし
チャットボットを見るうえで、まず比較すべき点は「AIあり」を選ぶか「AIなし」を選ぶかです。
2-1. AIあり/なしの特徴
AIあり・なしのそれぞれの特徴は、以下のとおりです。
強み | 弱み | |
---|---|---|
AIあり | ○ NLP(自然言語処理)によってユーザーが入力した文章の意図を読み取る ○ ディープラーニング(機械学習)によって精度を自動的に向上 | × 精度向上させていくためには細やかなメンテナンスも必要 × 運用スタートまでの準備に時間がかかるケースもある × コストが高い |
AIなし | ○ コストが安い ○ 導入が簡単 | × 決められたキーワード・ルール・シナリオに沿った回答しかできない |
簡単にいえば、AIありのチャットボットのほうが高機能・高精度です。その分、料金が高くなります。
AIなしのチャットボットでできることは、人間があらかじめ決めておいたルール通りの返答です。
例えば、ユーザーがチャットに「開店時間」と入力したら「開店時間は午前10時となっております」と答える、といったルールです。ユーザーが「お店が開く時間」「オープン時間」などの言葉を入力した場合には、対応できません。
AIなしのチャットボットの精度を高めるためには、ルールをできるだけ大量に人力で準備していく必要があります。
一方、細かくルールを決めなくても、「ユーザーの質問の意図」を解釈する機能を持つのがAIありのチャットボットです。「NLP(自然言語処理)」という技術によって、ユーザーが入力した文章を分析し、意図を把握したうえで最適な回答を返します。
さらに、AIありのチャットボットには「ディープラーニング(機械学習)」という技術も使われます。ディープラーニングとは、人間が細かくルールを決めるのではなく、チャットボットが過去データから学習して自律的に判断できるようにする技術のことです。
つまり、AIありのチャットボットでは、ユーザーとのやり取りの回数が多くなればなるほど、チャットボットが自動的に学んで賢くなっていく(回答の精度が上がっていく)というわけです。
ただし、注意点として、現時点でのAIチャットボットは、人間による手動のメンテナンスなしで自走できるレベルには至っていません。ディープラーニング機能を持つAIチャットボットであっても、スタッフによるメンテナンスは必要になりますので、その点は留意してください。
2-2. AIあり・なしのどちらが良いか
AIあり・なしのどちらが良いか?といえば、高機能・高精度なAIありのほうがおすすめです。
「チャットボットでやりたいこと」という観点からみれば、AIなしのチャットボットでできて、AIありのチャットボットでできないことはありません。大は小を兼ねます。
ただし、ネックは「予算」です。AIありのチャットボットは、AIなしのチャットボットに比較して料金が高くなります。
コスト的な問題でAIなしのチャットボットを選ばざるを得ない場合には、人力でルール設定やメンテナンスを行うためのリソース確保(担当スタッフの時間の確保)を行いましょう。
3. チャットボット比較(2)チャットボットのサービス
AIありのチャットボットにするか、なしのチャットボットにするか決まったら、次は具体的にどのチャットボットサービスを利用するか決めます。
AIチャットボットサービスは、さまざまな企業が提供していて数も多いため、見るべきポイントを絞らないと比較ができません。そこで、見るべき5つのポイントを解説します。
3-1. 用途に合っているか
1つめのポイントは「用途に合っているか」です。
というのは、AIチャットボットサービスは、主に以下の用途のいずれか(または複数)に特化して設計されているからです。
▼ チャットボットサービスの主な用途
- カスタマーサポート
- 社内ヘルプデスク
- ECサイト
- 採用
用途に合っていないAIチャットボットでも運用できないわけではありません。ですが、用途に合っているチャットボットを選んだほうが、「あるとうれしい機能」が充実しているのでおすすめです。
3-2. カスタマイズできるか
2つめのポイントは「カスタマイズできるか」です。
あらかじめ標準で搭載されている機能だけで運用できれば問題ありませんが、多くの企業ではカスタマイズが必要になります。
自社の用途に合わせて機能を追加したり、基幹システムとの連携を強化させたり、実際に導入するとなるとカスタマイズが必要になることが多いのです。
また、導入時にはカスタマイズ不要でも、運用を継続して拡張したくなるかもしれません。そのときに新たなチャットボットサービスを導入するより、既存のチャットボットサービスをカスタマイズできたほうが効率的です。
注意したいのは、チャットボットサービスを提供している企業のなかには、自社開発を行っていない企業も多いことです。海外の大手ITベンダーなどのOEMサービスを利用している企業では、ほとんどカスタマイズできません。
チャットボットサービスを選ぶときには、カスタマイズの自由度がどれくらいあるか、確認しましょう。
3-3. セキュリティは問題ないか
3つめのポイントは「セキュリティは問題ないか」です。
チャットボット上では、顧客の個人情報や社内の機密情報がやり取りされることもあるでしょう。セキュリティは非常に重要です。
「チャットボットから個人情報が漏洩して、自社がニュースに…」なんて悲劇を招かないために、セキュリティがしっかりしたチャットボットサービスを選んでください。
社内で定められたセキュリティ要件があれば、早めにサービス提供元に共有して、要件を満たしているか確認します。
ほかに確認できる指標としては、セキュリティの認証取得があります。具体的には、ISMSとプライバシーマーク(Pマーク)を取得していることを確認しましょう。
3-4. すぐに使い始められるか
4つめのポイントは「すぐに使い始められるか」です。
業務効率化や人件費の削減を目的としてチャットボットを導入する場合、準備のために大量の社内リソースが割かれては、元も子もありません。
また、導入までに長い期間がかかり過ぎるのも、避けたいところです。スピード感が重視される昨今の市況では、機会損失の原因となってしまいます。
そこで、できるだけ導入がラクで、すぐに使い始められるチャットボットサービスを選ぶ必要があります。具体的には、導入のラクさ・スムーズさを強みとしてアピールしているサービスを選ぶと良いでしょう。
3-5. 導入実績があるか
5つめのポイントは「導入実績があるか」です。
どんなに良さそうに見えるチャットボットサービスでも、導入実績がないものは避けてください。選ばれない何らかの欠陥がある可能性が高いからです。
チャットボットの導入実績を見るポイントは、Webサイト上の実績だけでは判断しないことです。Webサイト上には「公開OK」が取れている企業しか掲載されていません。
実際には、公開されていない実績のほうに、参考になる有益な情報が多いものです。チャットボットサービスの提供企業に直接問い合わせて、自社と近い業種や用途の導入実績を質問してみると良いでしょう。
以上の比較ポイントを把握できたら、具体的なサービス比較は「AIチャットボット 比較」へ進んでください。20社のAIチャットボットサービスを具体的に比較表にまとめています。
チャットボット選定で“絶対に外せない”3つの確認ポイントとは?
本資料(無料 eBook)をご覧頂ければ、以下の事がスムーズに出来る様になります。
- 選定候補のAIチャットボットを客観的に比較する事
- 実機トライアルで準備・確認すべき事
- 自社に最適なサービスを見つけ、失敗せずに導入する事
4. チャットボット比較(3)サービス提供企業
チャットボットサービス自体の候補が絞れてきたら、そのサービスを提供している「企業」にも目を向ける必要があります。
チャットボットは、導入したら終わりではなく、そこから提供企業との長いお付き合いが始まります。どんなにチャットボットのシステム自体が秀逸でも、提供元に問題があるとトラブルの原因となります。
提供企業についてチェックすべき3つのポイントを解説します。
4-1. 自社開発を行っているか
1つめのポイントは「自社開発を行っているか」です。
先にも述べたとおり、チャットボットサービス提供企業のなかには、自社開発を行わず、大手ITベンダーのOEMサービスを利用している企業も多くあります。
ですが、おすすめは自社開発を行っている企業です。なぜなら、それだけ社内の技術力が高く、高レベルなサポートをスピーディに受けられるからです。
例えば、OEM利用の企業では、不明な点やトラブル時に問い合わせたときに、解決まで時間がかかるケースがあります。OEM元に問い合わせてから回答しているためです。
ですが、自社開発の企業なら、素早く回答が得られますし、システムに問題が起きたときには、スピーディな修正対応をしてもらえます。
4-2. サポート体制がしっかりしているか
2つめのポイントは「サポート体制がしっかりしているか」です。
1つめのポイントと重複する部分もありますが、サポートが重要なのは技術面だけではありません。実際にチャットボットを運用する従業員へのサポートも重要です。
例えば、基本的な使い方のトレーニングや運用の悩み相談、メンテナンス方法のアドバイスなど、手厚いサポートが受けられる企業なら、チャットボットの運用は軌道に乗りやすいのです。
サポート体制の充実度を見極めるためには、試用させてもらうことが一番です。一定期間の試用期間が設けられているサービスであれば事前に利用し、その際のサポート体制を参考に判断しましょう。
4-3. 将来性があるか
3つめのポイントは「将来性があるか」です。
チャットボットのニーズは急速に高まっているため、ビジネスの勝機ありとにらんだ企業が続々とサービス提供に乗り出しています。しかし、なかには経営状態が悪化して、サービス停止に追い込まれるチャットボットも出てくるでしょう。
提供企業のサービスが停止すれば、当然、そのチャットボットを使い続けることはできません。そのようなチャットボットを誤って選ばないためには、提供企業の将来性を見極めましょう。
独自の高いIT技術を持つ企業や、経営母体が安定している企業は、将来性があると判断できます。
逆に、システム開発が本業ではないのにチャットボットの提供に乗り出している企業は、チャットボットのブームが去れば撤退する可能性があります。
チャットボットは、システム開発を本業とする企業のサービスを選びましょう。
5. 比較検討して最終的に選ぶべきチャットボットとは?
ここまで、チャットボットを比較するポイントをご紹介してきました。
すべての条件をパーフェクトに満たせるチャットボットを選べれば理想的です。しかし実際には「1. チャットボット比較をスタートする前の準備」にて設定した6W2Hの予算や納期、制約条件などの関係で、妥協せざるを得ない面も出てくるでしょう。
“何を優先するか/何を妥協するかは、各企業によって異なる”という前提のうえではありますが、最終的に選ぶべきチャットボットを挙げるなら、以下のとおりです。
- AI(人工知能)を搭載している
- 高いセキュリティレベル
- 自社開発を行っている企業が提供
理由は、この3つさえ満たしていれば、ほかの諸条件を満たせていなくても、工夫で柔軟に対応できる可能性が高いためです。逆に、この3つのポイントは、導入後に「やっぱりこの条件に替えたい」と思っても、替えられない点になります。
チャットボット選びに迷ったら、最後の決め手として、この3条件を参考にしてみてください。
6. まとめ
チャットボット比較の前準備
チャットボットを比較検討する際には、まず前準備として以下を行いましょう。
- 【ステップ1】6W2Hで導入したいチャットボットを明確にする
- 【ステップ2】制約条件を洗い出す
チャットボット比較の3つのポイント
チャットボットの比較方法として、以下のポイントをご紹介しました。
チャットボット比較(1)AIあり/AIなし
チャットボット比較(2)チャットボットのサービス
- 用途に合っているか
- カスタマイズできるか
- セキュリティは問題ないか
- すぐに使い始められるか
- 導入実績があるか
チャットボット比較(3)サービス提供企業
- 自社開発を行っているか
- サポート体制がしっかりしているか
- 将来性があるか
ここまでご覧いただいたら、実際にチャットボットの比較を進めてみてください。AI搭載のチャットボットをお探しの方は続けて「AIチャットボット 比較」にて、具体的なサービスをチェックしていきましょう。