「FAQシステムとチャットボットは違いは?」
「FAQシステムとチャットボットのどちらを選ぶべき?」
問い合わせや質問を効率よく解決できるFAQシステムやチャットボットは、どのような違いがありどちらを選択すべきか気になりますよね。
結論から言えばFAQシステムとチャットボットは全く別のツールで、向いているケースや使いたいシーンが異なります。
目的に合うツールを導入しないと思ったように稼働せず業務効率化や顧客満足度の向上につながらない可能性があるので、導入前にじっくりと比較検討することが欠かせません。
そこでこの記事では
- FAQシステムとチャットボットの違い
- FAQシステムのメリットとデメリット
- チャットボットのメリットとデメリット
- FAQシステムが向いているケース
- チャットボットが向いているケース
をまとめて解説していきます。最後まで読めばFAQシステムとチャットボットの違いが鮮明になり、どちらを選ぶべきか判断できるはずです。
しっかりと結果に結びつくツールを選ぶためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1. FAQシステムとチャットボットの違い
まずは、FAQシステムやチャットボットの基礎知識や共通点、違いなど知っておきたい情報をご紹介します
1-1. FAQシステムとは
FAQシステムとは、問い合わせや質問に対する回答をデータ化し管理できるシステムのことです。
下記のような企業サイトの「よくある質問」や社内向けの「質問集」などが当てはまります。
使い方としては、下記ようにユーザーがキーワードを入力して検索ボタンを押します。
キーワードを含む質問と回答が表示されるため、知りたい情報を探してクリックをします。
質問と回答の詳細を見ることで、ユーザーが自己解決できるよう丁寧に解説されています。
通常はFAQシステムに特化したツールを導入し、質問や問い合わせの設定をしてからwebサイト内やアプリ上で公開します。
頻繁に尋ねられる質問や想定される質問を網羅し誰でもアクセスできる状態にすることで、疑問を自己解決できるようになります。
1-2. チャットボットとは
チャットボットとは自動会話プログラムのことで、リアルタイムでコミュニケーションがとれる「チャット」にロボットの「ボット」を組み合わせた言葉です。
リアルタイムでユーザーとコミュニケーションが取ることができ、下記のようにテキストベースで会話をしながら質問や問い合わせに答えます。
質問を入力したり選択ボタンから選んだりすることで、最終的にユーザーが欲しい答えへと導いてくれます。
FAQシステムのように問い合わせに特化している訳ではなく、主な用途として質問や問い合わせに回答するという使い方があり、他には予定やスケジュール管理、営業や販売サポートなどさまざまな用途で導入できます。
また、後ほど詳しく解説しますが、AI搭載型とAI非搭載型の2種類があります。AI搭載型は自動学習能力が備わっているため細かな分析やメンテナンスをしなくても、ユーザーの利用情報を自動分析し回答の質を高めていけるようになっています。
種類 | 特徴 |
---|---|
AI 搭載型 | 質問と回答を登録し、初めのうちはあらかじめ登録された質問に沿って回答を表示する。 AI学習機能が備わっているため利用者が増えれば増えるほどデータを自動分析し、回答の精度を上げていける。 |
AI 非搭載型 | 質問と回答を登録し、あらかじめ登録された質問に沿って回答を表示する。 精度を上げるためには、自分でメンテナンスをする必要がある。 |
導入方法としては、通常はチャットボットツールを導入し質問や問い合わせを記録させwebサイト上やLINE、メッセンジャーなどのメッセージツール内に設置します。ユーザーとコミュニケーションを取りながら、問題解決に導けるところが大きな特徴です。
1-3. FAQシステムとチャットボットの共通点一覧
FAQシステムとチャットボットの共通点として、下記の6つが挙げられます。
事前に共通点を把握しておくことでどちらを選べばいいのか判断しやすくなるので、ぜひチェックしてみてください。
1-3-1. 3つの目的が達成できる
FAQシステムもチャットボットも、次の3つの目的を達成したい場合に活用できます。
① 業務効率化
ユーザーからの問い合わせが多いと、カスタマーサポート業務に時間を割かなければなりません。FAQシステムやチャットボットを導入すればユーザーが知りたいことを自己解決できるできるようになり、お問い合わせや有人対応の減少につながります。
社外対応だけでなく社内向けの問い合わせにも活用でき、社内業務の効率化や業務の質問に割く時間の削減が見込めます。
② 24時間対応ができる
有人対応のカスタマーサポートのみでユーザーからの問い合わせを解消しようとすると、対応時間外の対処法が課題となります。
FAQシステムやチャットボットを導入すれば24時間いつでも気になることを解決できるようになるので、ユーザーを待たせてしまうことがありません。
③ ユーザーの満足度アップにつながる
FAQシステムやチャットボットは、
- 待ち時間がなくユーザーが使いたいときに手軽に使える
- パソコンやスマートフォンから使用できるため手間がかからない
- 電話やメールなどのひと手間が苦手な人でも使える
という利点があり、ユーザーの満足度アップにつながります。
ユーザーや社員と良好な関係を築くためには、問題解決力は避けて通れないところです。FAQシステムやチャットボットを導入することで、ユーザーや社員に寄り添いすぐに解決したい情報が提供しやすくなります。
1-3-2. どちらの方法も質問と回答の準備が必須
FAQシステムもチャットボットも導入をする場合には、質問と回答の用意が必要です。FAQシステムやチャットボットに質問と回答を登録し、ユーザーが検索をしたときに提示する仕組みとなっているからです。
事前にユーザーや社員の質問や悩みを分析し、どのような回答を用意しておかなければならないのか検討しなければなりません。ユーザーや社員の意図から外れていると問題解決率が低くなってしまうため、とても重要な作業だと言えるでしょう。
FAQシステムとチャットボットのどちらを採用するにしても、現時点でのユーザーや社員の質問を把握しておくことが重要です。
1-3-3. どちらもメンテナンスをし続ける必要がある
FAQシステムとチャットボットのどちらを選んでも導入して終わりではなく、自分でメンテナンスを継続する必要があります。
実際に運用をしてみて「質問が足りない」「ユーザーの知りたい情報をずれている」と気付くことはよくある話です。メンテナンスをしないでそのまま放置をするとユーザーの自己解決率やFAQシステム、チャットボットの精度が上がらず、業務効率化やユーザー満足度などにつながりません。
どちらを導入しても、定期的なメンテナンスが必要となることは念頭に置いておきましょう。
1-3-4. どちらもAI搭載型が登場している
FAQシステムもチャットボットもAI搭載型が登場しています。
FAQシステム | 表示回数やユーザー動向を分析し、閲覧数が多い回答を上位表示させる機能や関連の高い回答を同時表示する機能などが登場 |
チャットボット | 蓄積された利用者データを自動分析し、回答の精度を上げていける |
FAQシステムはAI機能を利用し回答の表示方法が工夫でき、ユーザーの欲しい回答にたどり着きやすくなります。
チャットボットは蓄積されたデータを分析することで、ユーザーの欲しい答えが表示できるようになっていきます。このようにどちらもAI機能と組み合わせることで、より使いやすくなることも知っておきたいポイントです。
1-4. FAQシステムとチャットボットの違い一覧
FAQシステムとチャットボットの主な違いとして、下記の4つが挙げられます。
FAQシステムとチャットボットのどちらを使うのか判断をするときの大切な基準となるので、チェックしておきましょう。
1-4-1. FAQシステムは「調べる」チャットボットは「会話をする」
FAQシステムとチャットボットの大きな違いとして、知っておきたいのが使い方です。FAQシステムは、下記のようにユーザーが自分で調べたいキーワードを入力し回答を探します。
出典:au公式サイト
質問内容が多岐に渡りユーザーにより知りたい情報にバラつきがある場合や、自ら欲しい答えを探せるユーザーを対象としている場合に向いています。
例えば、情報量が多い市町村役場や銀行、スマートフォンのwebサイトや、自分で情報を探せるオペレーターのマニュアル、社内の問い合わせ窓口に使われています。
一方で、チャットボットは会話形式でユーザーの知りたい答えへと導くので、親しみやすさやユーザーに寄り添うことを重視しています。
顧客満足度を重視したいサービス業やリピーター獲得や新規顧客獲得など、次の売上につなげたい場合に多いです。下記のように、今後ツールを導入する予定がある人の質問に答えるといった目的でも導入されています。
出典:sinclo公式サイト
このように、FAQシステムはとチャットボットでは対象となるユーザーや使い方が異なることを把握しておきましょう。
1-4-2. FAQシステムは登録回答数が多め、チャットボットは少なめ
FAQシステムとチャットボットは、適切な登録回答数が異なります。登録回答数はFAQシステムは300個以上、チャットボットは500個までが一つの目安となっています。
登録数回答数
FAQシステム | 300個以上(多めがおすすめ) |
チャットボット | 500個未満(少なめがおすすめ) |
FAQシステムはユーザーが自分で検索をするため登録回答数が増えたところで、回答の質が下がることはありません。逆に登録回答数が少な過ぎると、ユーザーが求めている回答が網羅できていない可能性があります。
一方、チャットボットは会話形式で登録された回答を表示するため、回答が多すぎると複雑化したり間違った答えを提示しやすくなったります。とくに、初めのうちは回答数を増やし過ぎずにユーザーと自然な会話ができ適切な回答を提示できることに注力する必要があります。
このように、両者は向いている登録数回答数が異なるため
- できるだけ多くの回答を用意したい:FAQシステム
- 寄せられる質問が決まっているため、その質問だけを網羅したい:チャットボット
- 既存ユーザー、新規顧客など決まったターゲット層にだけ使用したい」チャットボット
などと使い分ける必要があります。
1-4-3. FAQシステムは長文可能、チャットボットはシンプルに
FAQシステムとチャットボットは、回答の表示方法が異なります。FAQシステムはwebサイト内に組み込まれることが多いため表示されるスペースが広く、図やイラスト、表などを活用しながら詳しく丁寧に解説できます。
そのため、FAQシステムの回答を読んだだけで問題解決できるかという明確さや丁寧さが重視されます。Y!mobileでは下記のように図やイラストを交えながら、ページ内で問題解決ができるよう細かく解説しています。
一方で、チャットボットはLINEやメッセンジャーのメッセージツールやwebサイトの端に設置されることが多く、表示画面が小さいです。それに加えて会話形式で進めなければならないので、分かりやすくシンプルに記載するのが基本です。
下記のように、必要最低限の言葉で分かりやすく会話をしながら答えへと導きます。チャットボットはFAQシステムのような明確さよりも、親しみやすさやコミュニケーションが大切とされます。
回答の表示方法が異なることで
- FAQシステム:明確な答えを知りたい場合、FAQシステムのみで自己解決したい場合
- チャットボット:コミュニケーションを重視したい場合、手軽に問い合わせをして欲しい場合
とターゲットや目的が違ってくることも意識しておきましょう。
チャットボット選定で“絶対に外せない”3つの確認ポイントとは?
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- 選定候補のAIチャットボットを客観的に比較する事
- 実機トライアルで準備・確認すべき事
- 自社に最適なサービスを見つけ、失敗せずに導入する事
2. FAQシステムのメリット・デメリット
ここからは、FAQシステムについて詳しく解説していきます。FAQシステムには、下記のようなメリットとデメリットがあります。
どのようなメリット、デメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。
2-1. FAQシステムの3つのメリット
まずはFAQシステムならではのメリットである
- 大量の質問が網羅できる
- 一つ一つの回答を細かく解説できる
- どのような問い合わせが多いのか可視化できる
という3つをご紹介します。
2-1-1. 大量の質問が網羅できる
FAQシステムの最大のメリットは、多くの質問を網羅できるところです。第1章でもご紹介したようにチャットボットは運用を考えると500個程度の質問数が限界ですが、FAQシステムは1,000や2,000個といった大量の質問を記載できるため想定される質問が多い場合でも安心して活用できます。
運用中に記載したい質問が増えても随時追加できるため、FAQシステムの内容をどんどん充実させていけます。
実際にFAQシステムを導入したコールセンターでは分厚いQ&Aファイルをめくり回答を探していたこともあり、欲しい回答はすぐに発見できるFAQシステムは「宝箱」と名付けられたそうです。大量の質問が掲載できるため網羅性が高く、一次窓口での解決率が上がりスタッフの自信にもつながったとのことでした。
このように、
- 大量の質問を掲載する必要がある
- 質問の内容が流動的で随時追加する必要がある
という場合に大量の質問を掲載できるGAQシステムはメリットとなるでしょう。
2-1-2. 一つ一つの回答を細かく解説できる
FAQシステムは図や表を交えながら、ユーザーが知りたい回答を丁寧に解説できます。
下記はソフトバンクのFAQページですが、「引き落とし日が知りたい」という質問に対し、表を交えてユーザーが自己解決できる丁寧に解説されています。
注意事項や関連情報も表示されるので細かな情報まで把握でき、この1ページを見ただけでさまざまな問題が解決できるだけの情報量が詰まっていることが分かるでしょう。
一方で、チャットボットは会話形式なのでシンプルで分かりやすい回答が必須となり、難解な質問や長文の回答への対応能力が低いです。
営業時間の案内や商品問い合わせなど回答が簡単なものならチャットボットでも情報漏れがなく記載できますが、細かな料金案内やシステムの使い方、複数の注意事項がある回答となると、リンクを飛ばしたり有人対応に回したりする必要があります。
FAQシステムならユーザーがFAQシステムの回答を見ただけで納得できるよう丁寧に細かな説明ができるため、有人対応や他のリンク先の用意などの手間をかけずに自己解決が図れます。
2-1-3. どのような問い合わせが多いのか可視化できる
FAQシステムは、ユーザーからの問い合わせの現状を把握できるところもメリットです。ほとんどのFAQシステムには
- どの問い合わせの閲覧数が多いのか
- FAQシステムに掲載されている質問が参考になっているのか
を分析するシステムが搭載されているため、ユーザーがどのような疑問を抱いているのか可視化できます。例えば、営業時間の問い合わせが多い場合には、webサイトや店舗で営業時間を分かりやすく記載しようと改善策を検討できるでしょう。
また、FAQシステムには下記のように質問の解決度をチェックするアンケートボタンが用意されていることが多いです。
ユーザーからの反応を集計し解決率が低い質問は、もう一度考え直し精度を高めることができます。このように、ユーザーのFAQシステム利用状況を可視化することで、満足度の向上や業務改善につなげられるところもメリットだと言えるでしょう。
2-2. FAQシステムのデメリット
FAQシステムのメリットが把握できたところで、デメリットとしてはどのようなことが考えられるのか見ていきましょう。
2-2-1. ユーザーが欲しい回答にたどり着くまで時間がかかることがある
FAQシステムはユーザーが自分で検索をして欲しい答えを探さなければならないので、回答にたどり着くまで時間がかかることがあります。
FAQシステムはユーザーが入力をしたキーワードに沿って紐付く答えを提示するので、長文のキーワードを入れてしまったり知りたい商品やサービス名称を間違えてたりしているとなかなか答えにたどり着きません。
また、単一のキーワードを入れても関連する回答が多いと自分の欲しい情報が見つけにくくなります。下記はヤマト運輸の「よくある質問」のページですが、「再配達」という簡単なキーワードを入れると多くの回答が羅列されます。
何ページもある質問を見ながら自分の欲しい答えを探さなければならないので、場合によっては多くの時間を費やすことになるでしょう。
大量の回答を丁寧に拾い上げ網羅できることがFAQシステムの強みではありますが、回答が増えれば増えるほど回答が見つかりにくくなってしまう一面があります。
【ユーザーの検索をサポートするAI搭載型FAQシステムも登場している】 「なかなか回答にたどり着けない」というデメリットを解消するため、最近はユーザーの検索をサポートするAI搭載型のFAQシステムが登場しています。 表示回数やユーザー動向を分析し、閲覧数が多い回答を上位表示させる機能や関連の高い回答を同時表示する機能など、少しでも検索が楽になるよう工夫されているところが特徴です。 回答数が多い場合には、AI搭載型を選択することでユーザーの満足度につながるでしょう。 |
2-2-2. 運用に時間と労力がかかる
業務効率化やユーザーの自己解決につながるような意味のあるFAQシステムにしようとすると、どうしても時間と労力がかかってしまいます。
FAQシステムを開始するにあたり、よくある質問を集め精度の高い質問を用意するだけでも一苦労です。運用するまでの下準備が大変で、座席をしたという失敗事例もあります。
運用が開始したらそのままにしているのではなく、ユーザーの反応に合わせて回答の質を上げていかなければなりません。また、料金体系や季節商品など流動的な情報を扱っている場合は、随時追加や削除も必要でしょう。
このように、FAQシステムを運用するために意外と時間と労力がかかるのはデメリットだと言えるでしょう。
3. チャットボットを使うメリット、デメリット
続いて、チャットボットを使うメリットとデメリットを見ていきましょう。チャットボットを使うメリットとデメリットとしは、下記のようなことが挙げられます。
3-1. チャットボットの3つのメリット
チャットボットを利用するメリットとして
- ユーザーの欲しい回答まで導いてくれる
- AI搭載型を選べば自然と回答の精度が上がる
- ユーザーの満足度が高い
という3つがあります。それぞれどのようなところがメリットとなるのかご紹介します。
3-1-1.ユーザーが知りたい回答まで導いてくれる
チャットボットの最大のメリットは、ユーザーの知りたい回答まで会話形式で導いてくれるところです。「商品の使い方が分からない」「商品やサービスの詳しい情報を知りたい」と思っても、どのように検索をすれば答えにたどり着けるのか分からないという人は以外と多いのではないでしょうか。
チャットボットは簡単な問いかけを繰り返して本当に知りたい回答まで連れていってくれるため、ユーザーが自己解決しやすくなります。
例えば、SONYのチャットボットは下記のように問い合わせの内容、続いてカテゴリーと会話を続けながら問い合わせ内容が絞っていけるようになっているので自然と欲しい答えにたどり着けます。
FAQシステムのような膨大な回答の中から探すのが面倒と感じている人でも、誘導してもらえる分使いやすいと感じてもらえるでしょう。
このように、チャットボットはユーザーに寄り添い質問に合わせた回答を提示することで離脱率を減らし、ユーザーが自分で自己解決できるように促してくれます。
3-1-2. AI搭載型を選べば自然と回答の精度が上がる
チャットボットはAI搭載型とAI非搭載型の2種類に分かれています。
種類 | 特徴 |
---|---|
AI 搭載型 | 質問と回答を登録し、初めのうちはあらかじめ登録された質問に沿って回答を表示する。 AI学習機能が備わっているため利用者が増えれば増えるほどデータを自動分析し、回答の精度を上げていける。 |
AI 非搭載型 | 質問と回答を登録し、あらかじめ登録された質問に沿って回答を表示する。 精度を上げるためには、自分でメンテナンスをする必要がある。 |
AI搭載型のチャットボットを選択すれば蓄積された利用者のデータをもとに機械学習をしてくれるので、より自然な会話ができるようになります。
つまり、チャットボットの利用者が増えれば増えるほど今までの会話を基に一人一人に合う回答を提示しやすくなるのです。
例えば、当初は「帰宅方法」というキーワードのみでしか回答ができなかったチャットボットでも利用者が増えることで学習をし「帰り道」「帰宅」「帰りかた」も同じ意味であると認識をすれば、表記の揺れに左右されず正しい回答を表示できます。(※全てのAI搭載型で実現できるとは限りません)
FAQシステムの場合は利用者が増えても、自分たちでメンテナンスをしなければ満足度や精度は上がりません。もちろんAI搭載型チャットボットでもある程度メンテナンスは必要ですが、自動的に学習をして精度をあげられるというのは大きなメリットの一つでしょう。
3-1-3. ユーザーの満足度が高い
チャットボットはまるで人と会話をしているような気分で問題解決ができるため親しみやすさがあり、ユーザー満足度が高いところもメリットです。
goo AI x DESIGNが実施した「チャットボット実態調査レポート2019」では、チャットボットを利用した70%以上の人が便利だと思うと回答しています。
参考:goo AI x DESIGN「チャットボット実態調査レポート2019」
チャットボットが好感度をもたらす理由としては「時間問わず使える」「すぐに解決できる」という声や、「親しみやすく案内をしてもらっている気持ちになる」という声がありました。
FAQシステムはテキストや図、表など硬いイメージがありますが、チャットボットは会話形式にすることで相談しやすい環境を作っています。
また、分からないことを一人で抱えていると不安になりますが、双方のコミュニケーションが取れる会話形式にすることで自然と緊張が解れ、その状態で問題解決ができることで満足度が高まるという意見もあります。
このように、実際に利用しているユーザーから好感触で満足度が高いところもチャットボットならではだと言えるでしょう。
3-2. FAQにチャットボットを使うデメリット
魅力的なメリットが多いチャットボットですが、デメリットとしてはどのようなことが考えられるのでしょうか?ここでは、知っておきたいチャットボットのデメリットをご紹介します。
3-2-1. 長文や複雑な回答に対応できない
チャットボットはFAQシステムと比較すると、長い回答や複雑な質問に対応できません。チャットボットはwebサイト上だけでなくLINEやメッセンジャーなどのメッセージツールで使用されることが多いため、シンプルな文章や短い文章でのやり取りが基本となります。
また、基本的にはFAQシステムより回答バリエーションが少ないため、回答できる質問が限られてしまい下記のように的外れな会話をしてしまうこともしばしばあるのが現状です。
まだまだ発達段階のシステムということもあって、チャットボットだけで問題解決をするのは難しく
- キーワードに当てはまらない質問は有人対応の問い合わせ先を表示する
- 複雑な回答はURLなどで別ページを案内する
といった工夫が必要です。
3-2-2. AI搭載の場合は精度を上げるまでに時間がかかる
AI搭載型のチャットボットを選択した場合、精度を高めるためには大量の利用データが必要となります。チャットボットの運用を開始し利用者が増えて一定数のデータがないと、回答の質が高められません。
また、利用者データがすべ正しいとは限らないため、定期的にメンテナンスをして正しい情報を習得しているか把握する必要もあるでしょう。
このように「AI搭載型を選択したかた安心」というわけではなく、精度を高めるためには利用者増加とデータ分析の時間がかかることを念頭に置いておきましょう。
チャットボット選定で“絶対に外せない”3つの確認ポイントとは?
本資料(無料 eBook)をご覧頂ければ、以下の事がスムーズに出来る様になります。
- 選定候補のAIチャットボットを客観的に比較する事
- 実機トライアルで準備・確認すべき事
- 自社に最適なサービスを見つけ、失敗せずに導入する事
4. FAQとチャットボットのどちらを選ぶべき?
FAQシステムとチャットボットのメリット、デメリットが把握できたところで、気になるのはFAQシステムとチャットボットのどちらを選べばいいのかというところですよね。
ここでは、FAQシステムが向いているケースとチャットボットが向いているケースをそれぞれご紹介します。ぜひ、どちらにするのか検討するときの参考にしてみてください。
4-1. FAQシステムが向いている3つのケース
FAQシステムは
- 登録したい回答数が多い
- 自分で調べてくれるユーザーがターゲット
- 自己解決率を重視したい
というケースに向いています。それぞれどのように向いているのか解説していきます。
4-1-1. 登録したい回答数が多い
登録したい回答数が多い場合やできるだけ多くの質問を網羅したい場合は、FAQシステムが向いています。第1章でも述べたようにFAQシステムはユーザーが知りたい情報を自ら検索するのが基本なので、登録回答数が増えたところで回答の質が下がることはありません。
また、チャットボットよりも多くの回答を掲載できるため、細かな質問や想定される質問も含めFAQシステムだけで解決できるよう網羅できます。
- サービスや商品が多い企業の「よくある質問」
- 社内向けの質問集
- お問い合わせ窓口の対応マニュアル
などに向いています。
4-1-2. 自分で調べてくれるユーザーがターゲット
FAQシステムは自分でキーワードを入力し検索しなければならないため、調べてくれるターゲットが対象となります。
- サービスや商品利用者向けの「よくある質問」
- 市町村の「よくある質問」
- 社内の質問集
など、ある程度関係が蓄積されており自分で調べてくれる姿勢がないと上手に活用できません。
「これからサービス利用を検討している」「どのような商品か気になる」という、まだサービスや商品を利用していないユーザー向けには効果が期待できないでしょう。ユーザーとどのような関係性であるのかを考慮しながら、導入を検討してみてください。
4-1-3. 自己解決率を重視したい
「有人対応や問い合わせ窓口を利用せず、FAQシステムのみでユーザーに自己解決して欲しい」という場合にも、FAQシステムは向いています。
第2章のFAQシステムもメリットでもご紹介したように、FAQシステムは長文や図、イラストを用いた細かな解説ができるため、そのページを見ただけでユーザーが理解できるよう工夫ができます。
実際にサクラインターネット株式会社では社内用のFAQシステムを導入したところ、自己解決率が2割から7割にアップしたそうです。これにより管理本部への問い合わせ減少やリモートワークなど多彩な働き方への柔軟な対応ができるようになったとのことでした。
- ユーザーや社員の自己解決率をアップさせ、業務効率化を目指したい
- 問い合わせを減少させたい
- 問題解決にかかる時間を短縮させたい
という場合には、FAQシステムの導入を検討してみるといいでしょう。
参考:PRTIMES「社内FAQを見直して、社員の自己解決率アップ。働き方改革が実現! 国内シェアNo.1『OKBIZ. for FAQ』を『さくらインターネット』が導入」
4-2. チャットボットを使用するのが向いている3つのケース
FAQシステムよりチャットボットが向いているケースとして
- 想定される質問が限定されている
- ユーザーとのコミュニケーションを重視
- 問い合わせや商品購入など次のステップにつなげたい
という3つのケースがあります。具体的にどのようなところが向いているのか解説していきます。
4-2-1. 想定される質問が限定されている
第1章でもご紹介したようにチャットボットの場合は登録数回答数が多いと回答ミスや複雑化を招くため、想定される質問が限定される場合に向いています。
例えば、下記のようにwebサイトのトップ画面に設置して、サービスを検討している人や初めてwebサイトを訪問した人にターゲットを絞ると想定される質問が限定されます。
また、サービスや商品が多い場合でも、限定された商品に関する問い合わせ窓口としてチャットボットを設置する方法もあります。
FAQシステムのように多くの質問を質問を網羅することを目的とするのではなく、
- 登録回答数が少ない
- 新規ユーザー向けや特定の商品ユーザー向けなど使用シーンが限定されている
という場合は、チャットボットを選んだほうがいいでしょう。
4-2-2. ユーザーとのコミュニケーションを重視
チャットボットは会話形式なので、ユーザーに寄り添いながら問題解決ができます。電話対応と変わらないような親しみやすさや親近感を重視したい場合におすすめです。
実際にチャットボットを利用したユーザーからも「親近感を覚えた」「イメージが良くなった」と回答する声が多く、ただ回答を提示するのではなくコミュニケーションを図る大切さが伺えます。
チャットボットの利用後、ブランドイメージの変化は?
興味を持った | 40.9% |
イメージが良くなった | 28.1% |
親近感を覚えた | 26.4% |
- 顧客満足度をアップさせたい
- ユーザーとの関係を良好に保ちたい
- ただ質問を解決するのではなく親近感を与えたい
という場合には、チャットボットを検討してみましょう。
4-2-3. 次のステップにつなげたい
チャットボットは会話形式なので複雑な文章や長文には向いていませんが、その分
- 商品やサービスの案内
- 有人の問い合わせ窓口
- 自己解決ができるwebサイトへの誘致
など次のステップにつなげやすくなります。
例えばユニクロIQはユーザーからの質問に対してシーンに合わせたコーデを紹介してくれます。コーデは下記のように写真付きで記載されて、商品ページに飛べるようになっています。
また、SONYの問い合わせチャットボットでは、下記のように手順が分かるリンク先を記載してユーザーが自己解決できるような次のステップを用意しています。
このように
- 質問を解決するだけでなく、サービスや商品の購入アップにつなげたい
- 次の解決策も用意しておきたい
という場合にも、チャットボットは向いていると言えるでしょう。
【FAQシステムとチャットボットの両方を導入するパターンも登場している】 FAQシステムとチャットボットはどちらもメリットとデメリットを持ち合わせているため、両者のいいところを使い分けられるようにどちらも採用するパターンも出始めています。 下記のようによくある質問ページにチャットボットも設置し、自分で解決することが難しい場合にはチャットボットとの会話形式で適切な回答へと導きます。 出典:LINEモバイル公式サイト 自分で調べられる場合はキーワードを入力し検索できるようになっており、より幅広いユーザーのニーズに対応できるようになっているのが特徴です。 もちろん両方を導入する分コストがかかりますが、どちらを利用すればいいのか迷う場合には両方採用してみるのも一つの方法です。 |
5. まとめ
いかがでしたか?
FAQシステムとチャットボットの違いが分かり、どちらを導入すべきか判断できたかと思います。最後にこの記事の内容をまとめてみると
FAQシステムとは問い合わせや質問に対する回答をデータ化し管理できるシステムのこと
チャットボットとは自動会話プログラムのこと
FAQシステムとチャットボットの共通点は以下の通り
FAQシステムとチャットボットの違うところは以下の通り
FAQシステムのメリットは次の3つ
- 大量の質問が網羅できる
- 一つ一つの回答を細かく解説できる
- どのような問い合わせが多いのか可視化できる
FAQシステムのデメリットは次の2つ
- ユーザーが知りたい答えにたどり着くまでに時間がかかることがある
- 運用に時間と労力がかかる
チャットボットのメリットは次の3つ
- 会話形式でユーザーの欲しい回答まで導いてくれる
- AI搭載型を選べば自然と回答の精度が上がる
- ユーザーの満足度が高い
チャットボットのデメリットは次の2つ
- 長文や複雑な回答に対応できない
- AI搭載型の場合は、精度が上がるまでに時間がかかる
FAQシステムが向いているのは次の3つのケース
- 登録したい回答数が多い
- 自分で調べてくれるユーザーがターゲット
- 自己解決率を重視したい
チャットボットが向いているのは次の3つのケース
- 想定される質問が限定されている
- ユーザーとのコミュニケーションを重視
- 問い合わせや商品購入など次のステップにつなげたい
チャットボットの導入を検討している場合は、下記の記事も参考にしてみてください。
この記事をもとに、FAQシステムやチャットボットを納得のいく形で導入できるようになることを願っています。