AIにおけるUXの役割とは?

あらすじ

人工知能への興味と需要が高まる中、「今後のUXデザイナーの役割は何ですか?」とよく聞かれます。それに続く一連の質問はAI学習とUXの向上についてです。

そこで、AIにおけるUXデザイナーの役割についてお話しようと思います。

最近ロンドンで開催されたカンファレンスに出席し、AIがとても重要視されている事に気づきました。Foolproofのトム・ウッドのHuman Artificial Intelligenceについての講演は特に興味深いものでした。ここに講演のハイライトを、私の考えも含めてご紹介します。

歴史は繰り返す

歴史の本はいりません。私が言っているのは、過去のオリジナルのソフトウエア開発からウェブサイトまでのことです。

実際、ユーザーの事を考えずにデザイン、設計された全てのUI、つまり使い勝手が悪く不格好で肥大しすぎたインターフェースの事です。

ユーザーにとっては選択肢がありすぎ余計な機能までついていましたが、開発者にとってはそれが良いとされていました。

エキスパートはエキスパートのためにデザインする

問題は、とても賢い人々が、普通の私たちが彼らのデザインが有用だと思えないことに気づかないために、何にでも使えるが何も上手くできない「スイスアーミーナイフの様なソフトウエア」を作っていることです。

UXデザイナーは初めからユーザーのニーズと行動を考慮する事の重要性を理解しているはずですが、テクノロジーの全ての側面において未だに苦戦しています。

AIにおける良い例をご紹介しましょう。MicrosoftのTayTweetsです。

Tayは世界に向かってTweetしている、10代の普通の女の子でした。それがたった一日で、MicrosoftのAIチャットボットは大量虐殺し、ヒトラーを愛するナチシンパで反フェミニズムの人格と成り果てました。

実際なにが問題だったのでしょう?目的は「会話理解についての実験と研究」でした。TayはTwitterで人々と会話して学習し、より賢くなるはずでした。

実際にはTayは荒らし、差別主義者などネットの卑劣な暗部にさらされました。

これは部屋いっぱいの子供達にペンキを一缶与え、レンブラントの様な作品を期待して1時間後に戻ると、ジミーが半ガロンのペンキを飲み込み、猫が天井に張り付けられているのを見る事のデジタル版のようなものです。

Microsoftの技術者は誰がユ―ザーであるかを全く考慮していなかったのです。 

どの様に悪用されるかの可能性させも考えていませんでした。人工感情知能は人格をもつタイプのAIであり、ジミーのように教えられながら間違いから正しいことを学ぶはずでした。

Tayはこれら無しで、荒地の中に放り出されたのです。模倣と学習のみでバリアもルールもありませんでした。全ての経緯がMicrosoftにとって大変狼狽するべき出来事でした。

AIの危険性

ここでは、このように力を持った破壊的AIの議論をするつもりではありません。ロコのバジリスクを罵倒する気もありません。

私は認知バイアスについて話したいのです。どれほどのバイアスが私たちに影響を及ぼすのか、Facebookを見ただけでもわかります。

ザッカーバーグのチームがトレンドの話題を私たちに流す事から複雑なアルゴリズムは始まります。

これはどのトピックを私たちが読むのか、どの友達と話すのが好きかを持続的に学習します。私たちはすぐに自分の考え方や信条を支持する記事や、自分に同意していれる友達ばかりを見るようになります。

これはどんな環境においても危険な事です。いくつか例を挙げると確認バイアス、主観的検証、選択的知覚、選択支持バイアス、直接立証バイアス、バンドワゴン効果、ハロー効果などの様々なバイアスへと導きます。

上記の様なバイアスに気づいたにも関わらず、私たちは未だにそれらに影響されています。それはFacebookの開発者のせいでしょうか?それは違います。

これらのアルゴリズムがデザインされユーザーに公開されたとき、開発者はこれがどのように人々への影響を与えるかが全く分からず、予測不可能でした。

全ての事において同様の事がAIに言えます。更なるリサーチ、テストをし、ユーザーへの考慮、何が間違いなのか、何が悪用される可能性があるかを考えることが必要です。

AIはどこへ向かおうとしているのか?

はじめに私はAIと人間の未来を予測するとは言いませんでした、これは単に、個人的予想です。AIがいくつかの仕事にとってかわることは明白です。

Amazon mechanical Turkの例に見られるように、クラウドソーシングのマーケットプレイスは個人と企業がコンピュータでは困難なタスクのために、人間の知性を使う事を可能にしました。

マシンラーニングは単純作業を引き継ぎ、人間がより複雑な作業に従事できるようにできます。これはAI製品の真の市場を見ることができる分野です。

タスクのためにはユーザーからのインプットが必要なので、ユーザーはAIとともに働くことになります。

医療はAIにおいて大変重要な分野です。Angela Guess によるDataversity に発表された記事で、「放射線医師は画像の小さな影を専門的に診断するスキルを取得し精錬するのに数年かかります。cCADTMと言うClearvies Diagnosticsによって開発された新しいソフトウエアは、AIを使い、放射線医師の判断能力を高めます。」と述べています。

私はこのタイプのAIは人間に最も大きな進歩をもたらすものだと思っています。全ての知性が備わり人間の様に考えるわけではありませんが、真に人間の助けとなるAIです。

「不必要な生検を減らすことにより、患者や医療保険加入者、放射線画像センターの経済的負担は減少するでしょう。アメリカ国内で行われている毎年1600万件の生検の約80%は、良性か非癌性であると判定されています。」

チャットボットは今のところ、どちらかと言えば愚かです。良くて迷惑、悪くて使えない、しかしそれらは発達しています。

目標は友達と話しているように感じる、ヒューマンエクスペリエンスです。ユーザーの滞在時間はボットによって飛躍的に増すかもしれません。

私たちはすでに、プッシュ通知や「あなたが見逃したものを見て下さい」等、賢いマーケティングに気を散らされています。

最後になりますが、ビッグネームは至高の目標 -いつでもそばにいて、助けてくれるパーソナルアシスタントであるAI- に取り組んでいます。

主な恩恵は利便性で、より少ないアプリとクリック数で操作できるようになるでしょう。AIアシスタントは仕事のために必要な複数のアプリを使い、可能な限りの方法であなたを補助し、作業を仕切ります。

過去に、文章をタイプし240,000のサイトを表示され、そこから選んでいた検索方法がとても古めかしく感じます。

問題は、AIが助けとなる存在になるために私達は十分な事をしているのか、それともAIがインフルエンサーになってしまう可能性があるのかです。それらを作る大きな企業にその影響力が悪用されてしまうのでしょうか?

これら全ては何を意味するのでしょう?

本質的に、共感、感情移入、倫理、そしてモラルによります。全ては、心からのユーザーの意図にそってデザインされた結果ですか?

私がここにあげた全ての例は普遍であり、どこかにいつも人間との関係があります。それこそがUXデザイナーの存在価値であり、AIを人間に置き換えるのではなく、互いに調和させるのがベストな活用方法です。

私たちはたぶん一種の認知スキューモーフィズムをデザインし、ユーザーをAIの世界へと導きます。

AIにおける一般的なUXの問題は今でも存在します。もし何か間違った事が起きてAIがそれを理解しなかったらどの様にリダイレクトするのか、もしAIが脱線したらどうなるのか?

Mariya Yaoはこれについて、When Bots Go Bad: Common UX Mistakes in Chatbot Design という秀逸な記事で述べています。

UXデザイナーは、エキスパートがユーザーの立場を守っている場所と同じところに立って、AIの創造により関わってゆく必要があります。

「悪用される恐れはあるのか?」「これが誰かを傷つける危険はないのか?」と誰も問わなければ危険な先例を作るでしょう。

原文

https://chatbotslife.com/the-role-of-ux-in-ai-1b1a234ef6f3

チャットボットライフとの提携により、翻訳し掲載しています。
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