御社のDX技術を保険会社に売り込む方法

あらすじ

優秀なチャットボット、マシンラーニング、AI、RPAを作っているのに保険会社や他の大きなサービス企業に売り込むのに苦戦していますか?

もしあなたが以下のような疑問を抱えているなら、この記事が参考になるかもしれません。

  • 保険会社は何を大切にしているのか?
  • 自社製品とテクノロジーをどのように位置づけすればよいか?
  • 自社製品の適切なバイヤーや組織は誰なのか?
  • 保険会社に売り込むとき他に知っておくべきことは何か?
  • 保険会社内の見込み客へのアプローチ範囲を拡大するには?

これは入門編の記事です。過去数年間、私が事業部とカスタマーサービスのコンサルタントとして、保険会社とその関連サービス会社のエグゼクティブをサポートした経験を反映しています。

保険会社がイノベーションについてどの様に考えているか、どの様に購入決定をするか、新技術のソリューションを導入するかなどを直に見てきました。

保険業界を理解する

信用が最も大切

保険会社を理解するために、その商品と歴史を理解することが必要です。

  • 今日、最も大きく成功している保険会社はとても古いです。AXA (1817), Generali (1830), Prudential (1848), Zurich (1872), MunichRe (1890), Allianz (1890)
  • 「新しい」企業は全て創業50年以上です。AIG (1919), China Life Insurance Company (1949)

これらの企業には古い歴史があり、それによって重要な資産である「信頼」を築いてきました。

生命保険について考えてみましょう。あながが死んだときに払ってもらうために保険料を支払います。払ってもらう時、あなたは存在もしていません。

顧客の信頼を守るため、保険会社は地道な努力によりプロセス、処理方法、秩序を作ってきました。保険会社は軽率に急ぐことはしません。彼らは変化に対してとてもゆっくりと対応します。

これは彼らのDNAとも言えるものです。何故なら彼らにとって最も重要なものは信頼であり、少しでも問題を起こす可能性がある短期間における最適化はしないからです。

安定は投資リターンを確保する

保険会社にとってキーとなる効率性の測定基準は損失比率で、保険料収入に対して請求金額をいくら支払ったかです。

保険会社の利益の得方はこの方法ではないという意見もあるでしょう。彼らは、あなたの保険料を様々な有価証券、ボンドや株から、ハイリスクのベンチャーキャピタルファンドまでに投資して利益を得ます。彼らは投資収益の一部を保険契約者に支払い、その他は利益となります。

とは言え成功する投資の基本は顧客を維持し、保険を解約しないようにする事です。これが急な変化で波風を立てるべきではない、もう一つの理由です。

保険会社は大手テック企業を恐れている

明らかに保険会社はインシュアテックを恐れていません。評価額が10億ドルを超えるユニコーン・インシュアテックさえもです。AXA、Allianz、Generailはそれぞれ単体で2,300のユニコーンを買収できるだけの資金力を持っているのですから。

保険会社が恐れているのはユーザー主体のテックジャイアント、Amazon、Apple、Googleです。

これらのブランドは計り知れない信頼をユーザーから得、テクノロジーを保険会社よりもずっと効果的に扱うことができます。AmazonとBerkshir Hathawayが傘下に健康保険会社を設立すると発表し、この業界の最悪の悪夢が現実になりました。

セールスポイント

  • あなたが長期に渡って信頼できるパートナーになることをアピールし、時間をかけて良い関係を築きましょう。
  • 注意深く骨組みしましょう:あなたのテクノロジーは、混乱や波風を生ずるものではなく、業務を効率化し改善するものでなければなりません。
  • 業界がおかれている状況にプレッシャーをかけ(Amazon、Apple…)保険業界をあなたのテクノロジーがどの様に前進させるかを説明しましょう。

テクノロジーの価値を明確に定義し、複雑さを減らす

あなたのソリューションはどんな行動とゴールをサポートするのか

保険業界の仕事はマーケティング&セールスとオペレーションの2つに大きく分けることができます。(私のバックグラウンドは主にオペレーションですが、マーケティング&セールスに焦点を当ててお話します。)

マーケティング&セールス

  • 行動:保険商品の販売とマーケティング 例:「どの保険プランを契約するべきでしょう?」
  • ゴール:保険商品をもっと売り、販売コストを削減する(自動化)

オペレーション: 保険金支払いの管理

  • 行動:全ての保険金請求の処理。 例:「事故にあったので、車の修理代の支払いをお願いします。」
  • ゴール(重要度順に):保険金の支払いを最小にする(!)、請求プロセスの効率化、顧客満足度の向上

オペレーション: カスタマーサービス

  • 行動:保険金支払い以外の全ての処理。 例:「私の保険プランについて質問があります。」
  • ゴール(同じ重要度):顧客満足度の向上(ここでの主要トピック)、カスタマーサービスの効率化(常に)

通常、実務の中に統括やITプロジェクト管理なども含まれますが、ここではそれらの詳細は省略します。

保険業界における私の好きなサクセスストーリーの一つがtractable.aiです。事故の写真を見て車の修理にかかる費用を見積もりするML-アルゴリズムを構築しました。下記の理由で保険会社にとってとても有益なシステムです。

  • 請求プロセスを迅速に効率的に管理できる
  • 事故の写真を提出してから、保険金の支払いまでにかかる期間を大きく短縮することにより顧客満足度の向上につながる。
  • 最も重要なこと:支払いのコストを減らせる。保険会社は修理にかかる金額の判断に優れているため、少し低い金額の直接支払いを提案する。顧客はしばしば、実際の修理よりも直接支払いを好む。

あなたのテクノロジーはターゲット企業のシステムのどこにフィットするか

(全てを網羅しているわけではありません)

  • ロボティック・プロセス・オートメーション:既存の古いシステムの上
  • チャットボット(プラットフォーム):セールスのパイプライン、コミュニケーション、チャット・インフラ(もしあれば)
  • ML-/AIテック:カスタマーサービス・システムの中(例:チケットシステム)、カスタマーデータベース
  • SaaS:バックエンドシステムへの統合 
  • 核となる保険のシステムへのアクセスが必要か、あなたのソリューションはサプライヤーとしての価値を提供するか 例:請求、カスタマーサービス・アプリ
  • あなたのテクノロジーは古いテクノロジーに代わるものか(難しい)、それともあなたは新しいサービスを提供するのか(簡単)?

Tractable.ai.は本来、写真を分析するバックエンドエンジンを構築しました。保険会社はAPIをアプリに統合し、彼らの他のゴールのためのマシンラーニングも加えることができます。

一方で:MLソリューションがカスタマーサービスの会話を自動化すると想像してください。これはサービスシステムと深く統合することと、顧客データへのアクセス(プライバシーの問題に注意してください)が必要です。これはずっと困難です。

経験則:統合する条件が複雑なら複雑なほど、売ることも難しくなります。あなたのソリューションを簡単な方法で統合できるように構築するか、少なくとも骨組みを作ってください。あなたのテクノロジーの能力を全て使わないとしても、シンプルな統合で小さな問題を解決し、高い成功率を出す方が良いでしょう。

適切なターゲットへの営業努力に焦点をあてる

保険会社は複雑な組織です。あなたのテクノロジーとソリューションに価値があると思ったら、正しい売り込み先を認識する事が大切です。

  • 組織レベル:企業グループの総本部、国の本部、事業単位の総本部、事業単位の国の本部、イノベーション組織
  • 人々:会社役員、Cレベルの管理職、事業部門の管理職、国単位の管理職、IT部門の管理職、部署の長、イノベーションマネージャー

ステップ1:ターゲット会社の中の正しい組織を認識

  • だれがあなたのソリューションから最も利益を得ますか?OPS、IT、マーケティング、営業?
  • 誰があなたのソリューションに払う予算を持っていますか?その部署の長は現実的に全プロジェクトに支払う予算を作れますか、それとも誰かその上の人の承認が必要ですか?
  • テクノロジー関係の契約の責任者は誰ですか?その部門に決定権がありますか、それとも中央IT部署に決定権がありますか?

組織の人々と話す事で、これらの答えを見つけることができます。もしコネクションがなければ、エキジビションや企業イベントに出向いてその会社の人々と会いましょう。そして営業努力の焦点をどこに当てるかを決定します。OPS、ITもしくはイノヴェーションハブなどです。組織図を検索するだけでは助けになりません。

ステップ2:スポンサーを見つける

  • スポンサーとは管理職、理想的にはあなたのソリューションを試してみる価値があると思ってくれるCレベル(経営幹部レベル)です。スポンサーになる可能性のある人に会えば彼らは組織にあなたを紹介してくれるでしょう。
  • Fortune500企業のCレベルに会うのは容易ではありませんが不可能でもありません。もしあなたが革新的なテック製品を持っていれば彼らは自分がイノベーターであることを証明するためにあなたに会ってくれるでしょう。イベントで彼らに効果的で短い(!)話し方でアプローチしましょう。私はCEO、チーフストラテジーオフィサー、チーフイノベーションオフィサーにこの方法で会いました。
  • しかし安心しないでください。CEOがあなたの製品を気に入り会社の誰かに紹介すると言ってもあなたはまだ何も売っていません。CEOは通常、直接のバイヤーではありません。実際にあなたの製品に予算を遣ってくれる組織の下部の人を説得しなければなりません。

ステップ3:購入者を探す

あなたのテクノロジーの価値と、売り込みに適切な組織を確認したらバイヤーを探すのはずっと簡単になります。

もしスポンサーがいれば更に良いです。彼らはあなたに適切なアドレスを紹介してくれるでしょう。

もしスポンサーがいなかったり、TargetCorpで適切なバイヤーを見つけられなかった場合、LinkedInで検索しましょう。(何れにしてもこれはするべきです)

購入者は、あなたのテクノロジーの支持者になる可能性がある人です。支持者とは、あなたのソリューションから直接の利益を得、組織の中であなたのメインのサポーターとなる人達です。

通常、Cレベルの中ではなく、何段階か下のレベルの人達です。彼らは、あなたのチャットボットを使い顧客満足度を向上できる人、またはあなたのRPAを使いコスト削減できるオペレーションマネージャー、またはあなたのAIソリューションを導入することにより効率化できるITマネージャーかもしれません。

あなたの潜在的な購入者は:

  • あなたとプロジェクトを始めるために予算を使える
  • あなたのソリューションを導入することにより、直接の利益がある(収益増加、コスト削減、もしくは少なくとも評判を上げる)
  • あなたのチームと全般的に携わることができる。(目標を高く持ちすぎないように。Cレベルの人達は小さな新プロジェクトに割いている時間はありません)
  • TargetCorpの中で、あなたの支持者となる可能性がある。

適切なセールス

まず保険会社以外の誰かに売る

このパートを覚えていますか?「顧客の信頼を保持するために、保険会社は大変な努力をしてプロセスと処理方法を作ってきました。」

保険会社をあなたの最初の顧客にすることは、ハッカソンかイノヴェーションヴィーグルの一種を通じてする以外は、殆ど不可能です。

テクノロジーがその価値を証明したら、保険会社はたった一つの会社-最も古く成功しているマーケットリーダー-から大きな規模のソリューションを購入します。

保険会社は最先端のソリューションを採用する最も革新的な企業ではありません。しかし市場状況の変化にも耐えぬいてきた業界です。長期的に存在しようとする企業です。

そのため、あなたは初めに他の会社に売って、その価値を証明すると良いでしょう。保険会社は他業種より、より強くこれを求めます。

あなたの価値を明確に示す

保険会社は数主導型です。バイヤーにあなたの価値をユーロ、ドル、%などで明確に示しましょう。コスト削減や満足度の向上をどの様に実現するか、プロセスの何%を自動化できるかなど…(ステップ2を参照)

イノベーションハブに用心

全ての大きな金融機関は新しいテクノロジーやソリューションを試す、イノベーションハブかデジタルファクトリーを持っています。

もしあなたがそこに入ることができれば素晴らしいです!しかし、そういったハブは通常、他の部署から切り離されています。

あなたのソリューションを極少ない観客の前で発表することができるかもしれませんが、それは「イノベーションの予算」とは別の遊びの予算です。

そこで数百ドルの売上を得るのもいいでしょう。しかしもしあなたが本当の売上を欲しかったら、本物の事業に売り込まなければなりません。保険会社では通常、それは国の全ての顧客を管理する組織の中です。

あなたがイノベーションハブにいる内に、組織全体の中でのネットワーク作りに励んでください。今の予算が使い果たされた後、次のターゲットとなるバイヤーをすでに知っておくことが大切です。

独占契約に注意する

いくつかの保険会社はテクノロジーを他社との差異化のキーファクターと見なしています。それらの企業はあなたと独占契約を結び、あなたのテクノロジーを彼らだけの強みとしたいでしょう。(もしくはそれを持つための競争を避けたい)

1つの会社と独占契約をすることが、他会社のポテンシャルと同じだけの価値があるかを見極める必要があります。あなたの製品によって、バランスはどちらにも傾きます。

オンボーディング(新規ユーザーを適応させる) が重要

私は実際にこれを目撃しました。私のクライアントは、もし成功すれば多国籍企業全体のオペレーションに採用する、新しいSaaSを購入しました。

SaaSの販売チームは、オンボーディングにおいてクライアントに大変お粗末な仕事をしました。

彼らは顧客が新しいソリューションに適応するのを手伝う代わりに、次の見込み客へ移動する事に集中していました。

ソフトウエアの実際のカスタマイゼーションは要求されていませんでしたが、正しく設定するためのシンプルな説明は必要です。

このやり方で、クライアントはソフトウエアのセットアップに苦心し、Cレベルの上司にソリューションの価値を証明するのにも大変な苦労をしました。

もしこれがあなたの初めての販売でなければ、あなたは「オンボーディングを上手くこなせる」と思うかもしれません。

しかし、保険業界は他の業界よりももっと複雑です。顧客の言葉に耳を傾け、正しくオンボードし、あなたの会社の支持者になってもらいましょう。

見込み客の拡大

足掛かりをつけ広げる

基本的な売り方は、強力なスポンサーと支持者を確立することにかかっています。

組織の中の一部署であなたのソリューションを上手く稼働することに成功したら、拡大する時期です。保険会社の素晴らしいところは巨大企業であるので、数多くの機会があります。

現在のクライアントの助けを借りながら組織内の新規顧客を見つけましょう。彼らにあなたのためのマーケティングをしてもらうのです。

典型的な例:

  • イベントであなたのクライアントのサクセスストーリーの収支報告をしてもらう(内部外部ともに)
  • あなたの既存のクライアントを見込み客を一緒に問題を考えてもらう。
  • あなたのプロジェクトの成果を紹介する大切なミーティングにスライド等やプレゼンテーションの用意をする

忍耐は報われる

保険は大変長い販売サイクルを持っています。「足掛かりのユースケース」だとしても、同じ組織内で次に売るまでに6か月もかかるかもしれません。

この販売サイクルは企業文化と意思決定のプロセスのためです。フラストレーションを感じずにTargetCorpを理解したり、ネットワークを広げたり、イベントに出席したりする時間として活用しましょう。あなたの会社の営業マンに長期でモノを考えるゆとりを与えてください。

もしあなたが保険会社に価値あるものをもたらせるなら、あなたの努力は報われます。

保険会社は彼らのゴールのために外部機関と協力してきました。もしあなたが彼らのために価値あるものを安定して供給することができるなら、とても強力で長年にわたるロックイン効果を持つことができるでしょう。

原文

https://chatbotslife.com/1-5-how-to-sell-your-technology-to-insurance-companies-ae24e57ed22

チャットボットライフとの提携により、翻訳し掲載しています。
チャットボットライフとは、最新のボット、AI、NLP、ツール等を扱うメディアです。