チャットボットとは「チャット形式で自動会話ができるプログラム」のことです。
LINEやFacebookメッセンジャーのように、リアルタイムにチャット上で行われる会話を、まるで人間が返答しているかのように行うのがチャットボットです。
近年のチャットボットにはAI(人工知能)が使われ、より人間に近い自然で高度な対話が可能になっています。
そのため多くの企業において、顧客対応や社内ヘルプデスクなどの業務にチャットボットを利用する動きが加速しています。
チャットボットの概要を理解し、導入するために必要な知識を身に付けることは、今後の業務効率化や顧客満足度の向上に欠かせないスキルです。
よって本記事では、「チャットボット」について、基本から事例・作り方まで、導入に必要な情報をすべてまとめました。
本記事のポイント
- チャットボットの概要がキャッチアップできる
- チャットボットのメリット・デメリットが理解できる
- チャットボットを導入する具体的なやり方がわかる
「チャットボットに興味がある」
「自社でチャットボットを導入するか検討したい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、「チャットボットとは何か」はもちろん、チャットボットの導入を成功させるためのコツや注意点まで理解できるようになります。
さっそく「チャットボット」について解説しましょう。
1. チャットボットとは?
チャットボットとは何なのか、基礎知識から解説します。
1-1. チャット形式で自動会話できるプログラム
チャットボットとは、チャット形式で自動会話できるプログラムのことです。
「チャット」は、LINEのようにインターネットを介して行うリアルタイムのコミュニケーションを指します。
「ボット」はロボットの略で、一定のタスクや処理を自動化するプログラムのことをボットと呼びます。
「チャット」+「ボット」を組み合わせた言葉である「チャットボット」は、「人間がチャット経由で送信したメッセージに対して、まるで人間のようにメッセージを返信するプログラム」となります。
多くの人にとって身近なチャットボットとしては、LINEの公式アカウントのチャットボットが挙げられます。例えば、以下はJR東日本の公式アカウントのチャットボットです。
例えばユーザーが「定期券の買い方を教えてください」と入力すると、瞬時に回答が返ってきます。
1-2. チャットボットの仕組み
チャットボットは、どうしてまるで人間のような自然な会話ができるのでしょうか。チャットボットの仕組みを見てみましょう。
ユーザーがチャットで質問をテキスト入力して送信すると、チャットボットは以下の流れで答えを返信します。
キーワード分析 | ユーザーから受け取ったメッセージのテキストを分析して質問の意図を解釈し、重要なキーワードを抽出する。 |
データベース検索 | 抽出したキーワードでデータベースを検索し的確な答えを探す。 |
回答文生成 | 回答文のテキストを生成してユーザーにメッセージを送信する。 |
チャットボットの精度が高いほど、キーワード分析でユーザーの意図を的確に解釈することができます。
データベースの準備方法としては、手動で人間が準備するやり方と、チャットボットのAI機能で自動学習させる方法があります。これはチャットボットの種類によって異なります(詳しくは次項でご紹介します)。
なお、チャットボットの仕組みをさらに詳しく知りたい方は「チャットボット 仕組み」もあわせてご覧ください。
1-3. チャットボットの種類
チャットボットには、さまざまな種類があります。
チャットボットの種類を「精度別」「役割別」「プラットフォーム別」に分けると、以下のとおり分類できます。
(1)精度別
まず、精度別に見ると「AIが搭載されていない人工無能タイプ/AIが搭載されている人工知能タイプ」の2つに分けられます。
AIあり(人工知能)のチャットボットは、一言でいえば「賢いチャットボット」です。人間が回答するのと遜色のない、自然でユーザーの意図に合った会話が可能です。
具体的には、前項で解説したキーワード分析の精度が高まる・データベースを自動学習で充実させることができるなどのメリットがあります。
(2)役割別
次に役割で分けると「雑談型/FAQ型/アシスタント型」があります。
雑談型の有名なチャットボットは元女子高生AI『りんな』です。とりとめもない雑談ができるチャットボットとなります。
FAQ型のチャットボットは、主に企業で導入されているチャットボットです。顧客からの問い合わせに答えたり、社内ヘルプデスクの役割を担ったりします。
アシスタント型のチャットボットは、Apple『Siri』・Google『Google Home』・Amazon『Alexa』のように、ユーザーの特定のタスクを処理するチャットボットです。これらは文字ベースではなく音声ベースですが、音声ベースでもチャットボットと呼ばれます。
(3)プラットフォーム別
最後に、プラットフォームで種類を分けると、「LINE/Facebook/Slack/自社環境(Webサイトやアプリなど)」の4つが代表的です。
プラットフォームは利用するユーザーの状況に合わせて選びますが、企業の導入例ではLINEや自社のWebサイトへの設置が多く見られます。
チャットボットの種類については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
1-4. チャットボットを取り巻く背景
ここで、チャットボットを取り巻く背景について触れておきましょう。近年、チャットボットには注目が集まっており、導入企業が増えている状況です。
Googleでの検索数の推移をチェックできるGoogleトレンドを見ると、「チャットボット」の人気度は2015年から2020年にかけて、右肩上がりが続いていることがわかります。
背景としては、もともとチャットボット市場の拡大が続いていたところに、2020年のコロナ禍でチャットボットのニーズが一気に高まったことが挙げられます。
非接触・オンラインで、オペレーターや社員が出勤する必要もなくカスタマーサポートや社内ヘルプデスク対応できるチャットボットは、ウィズコロナ時代の新たなスタンダードとして定着する見込みです。
チャットボットが注目されている背景について詳しくは「チャットボット シェア」もあわせてご覧ください。
チャットボット選定で“絶対に外せない”3つの確認ポイントとは?
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2. チャットボットのメリット・効果
チャットボットには、どんなメリット・効果があるのでしょうか。4つのポイントを解説しましょう。
2-1. 大幅な業務効率化が実現する
1つめのメリットは「大幅な業務効率化が実現する」ことです。
その理由は、チャットボットなら、今までは効率化が難しかった「人間のコミュニケーション」を自動化できるからです。
例えば、コンタクトセンターのオペレーター業務や社内ヘルプデスクの対応業務など、1対1の対応が必要だった業務を代替できるのが、チャットボットです。しかも単に代替するのみならず、1つのチャットボットが同時に多数のユーザーに対応できます。
実際に、AIチャットボット『Neurox』を導入したある企業では、カスタマーサポートの人間による回答数を67%削減することに成功しました。
チャットボットの導入により、社内の業務効率化・生産性の向上やコンタクトセンターへの外注費用の削減が実現します。
2-2. 顧客満足度が向上する
2つめのメリットは「顧客満足度が向上する」ことです。
チャットボットは、今まで人間のオペレーターや社員が対応していた業務を代行するだけでなく、今まで対応できていなかった業務までカバーできます。
例えば、「365日24時間の顧客対応」や「待ち時間なしの即時回答」は、チャットボットだからこそ実現できる強みです。
ユーザーの視点から見ると、「解決したい疑問が、いつでもどこでもすぐに解決できる」ため、結果として顧客満足度が向上します。
顧客満足度が向上すれば、ブランドや商品・サービスの愛用者が増え、業績向上につながっていきます。
2-3. ユーザーリサーチに活用できる
3つめのメリットは「ユーザーリサーチに活用できる」ことです。
チャットボットは「相手が人間ではない」という気楽さにより、ユーザーが本音をそのまま出しやすい特徴があります。
企業のマーケティング活動において、「ユーザーの本音」には何にも代えがたい価値があります。ユーザーの本音は、商品・サービスの改善や新商品の開発、新たな価値の提供などの原資となるからです。
実際、チャットボット導入済みの企業では、ユーザーとチャットボットの会話データを分析してユーザーの本音をつかみ、マーケティングに活用しています。
マーケティングに力を入れている企業にとって、チャットボットから得られるユーザーデータは、大きな武器となるでしょう。
2-4. 使い方次第で多種多様な課題を解決できる
4つめのメリットは「使い方次第で多種多様な課題を解決できる」ことです。
ここまで3つのメリットをご紹介してきましたが、実は、これらのメリットはごく一部です。チャットボットは、使い方次第で多種多様な課題を解決できます。
なぜなら、チャットボットを「ユーザーと企業の間にコミュニケーションを生むツール」として捉えれば、あらゆる課題のソリューションになり得るからです。
例を挙げれば、以下の課題をチャットボットの活用で解決できます。
- 新規顧客の獲得
- コンバージョン率の向上
- リピート率の向上
- ブランド力の向上
- 優秀な人材の確保
- 人材の育成
- 生産性の向上
- 人件費の削減
チャットボットというツールは、活用の仕方次第で無限の可能性を秘めているのです。
チャットボットのメリットや効果についてさらに詳しく確認したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
3. チャットボットのデメリット・課題
前述のとおり、チャットボットには多数のメリットがありますが、
「チャットボットに、デメリットはないの?」
というのが、気になるところではないでしょうか。
良いところばかりに見えるチャットボットにも、マイナス点はあります。2つ、ご紹介します。
3-1. 導入・運用のためのリソース・コストが必要になる
1つめは「導入・運用のためのリソース・コストが必要になる」ことです。
「チャットボットで業務効率化ができる」「人件費が削減できる」と聞くと、チャットボットさえ導入すればチャットボットが何でもやってくれると思いがちです。
しかし、ここで忘れてはならないのは、チャットボットを導入・運用するためのリソースとコストです。
まず費用について触れておくと、例えば有料のAIチャットボットサービスを利用すると月額数万円〜数十万円のコストが発生します。
加えて導入前には、チャットボットに必要なデータをインプットする準備作業が必要ですし、運用開始してからも、適宜データベースの内容を見直して修正するメンテナンスが発生します。
多くの企業では、チャットボットの導入によって削減できる業務量や外注費・人件費のほうが上回って、トータルで見るとコスト・リソース削減になりますが、事前の試算は欠かせません。
3-2. チャットボットの選び方次第では役立たない
2つめは「チャットボットの選び方を間違えると役立たない」ことです。
チャットボット市場の拡大とともに、チャットボットサービス事業に参入する企業が増えています。現状では、高品質なチャットボットから低品質なチャットボットまで、玉石混淆となっています。
導入するチャットボットを役立つものにしたければ、「チャットボットに何をしてほしいのか」を明確にし、その目的に見合ったチャットボットを見極めて選ぶ必要があります。
具体的な選び方は「チャットボット 比較」にて解説しています。あわせてご覧ください。
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4. チャットボットの事例
さて、ここまでチャットボットの概要をご紹介してきました。ここで、より具体的にイメージしていただくために、事例をご紹介します。
成功事例と失敗事例の両方をご紹介しますので、自社の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。
4-1. 成功事例
まずは成功事例を2つ、ご紹介します。
LOHACOのマナミさん
出典:LOHACO
1つめの事例は『LOHACOのマナミさん』です。アスクルの個人向けECサイト「LOHACO」が運営するチャットボットで、チャットボットの成功事例として、ビジネス誌などに取り上げられることもある有名なチャットボットになります。
目的 | 電話問い合わせ数の削減 |
施策 | キャラクター性のあるチャットボットの導入 |
効果 | 問い合わせの約半数をチャットボットで対応 |
LOHACOのチャットボットは、問い合わせ数の約半数を対応していますが、成功のコツは「ユーザーが思わず話しかけたくなる、キャラクター性のあるチャットボット」にしたことです。
出典:LOHACO
「マナミさん」という名前と親しみやすいイラストによって、まるで実在の人物と会話しているような気分になれます。さらに、実はたわいもない雑談にも応じてくれることがネット上で話題になりました。
現在では、LOHACOに寄せられる問い合わせの約半数を1人でさばいているというマナミさん。マナミさん自身の知名度も上がって集客効果も出ています。
株式会社武蔵野のテルミちゃん
出典:株式会社武蔵野
2つめの事例として『採用担当のテルミちゃん』をご紹介しましょう。
株式会社 武蔵野が新卒採用向けサイトに設置しているチャットボットで、就職活動中の学生のどんな質問にも答えてくれます。
目的 | 採用力の向上 |
施策 | 学生のどんな質問にも的確に回答できるように高精度AIを搭載したチャットボットを導入 |
効果 | 新卒採用プロセスに貢献 |
就職活動中の学生は、企業に対してさまざまな疑問や不安を抱えています。しかし、企業の採用担当者に直接質問することは、しにくいものです。
そこで株式会社武蔵野では、AI(人工知能)を搭載した高精度のチャットボット(Neuroxチャットボット)を導入。学生からのどんな質問にも、365日・24時間体制で回答できる体制を整えました。
例えば「残業はありますか」と質問してみると、明確に返答が返ってきます。
結果、学生たちは不安や疑問をその場で解決できるようになり、優秀な人材の採用につながっています。
以上、2つの成功事例をご紹介しましたが、さらに成功事例をご覧になりたい方は「チャットボット 事例」をご覧ください。チャットボットのキャラクターや自治体の事例をお探しの方には、以下の記事もおすすめです。
4-2. 失敗事例
次に、失敗事例を2つ、ご紹介します。
利用者が少なく廃止になったチャットボット
1つめの失敗事例は「利用者が少なく廃止になったチャットボット」です。
実際に多い声として、以下が挙げられます。
- 社内の業務効率化に導入したけれど、浸透せずに廃止になった
- ユーザーの問い合わせ窓口にチャットボットを導入したのだが、利用頻度が低く廃止になった
- webサイト上にチャットボットを設置したが、利用者が少なく廃止になった
「3-1. 導入・運用のためのリソース・コストが必要になる」にて解説したとおり、チャットボットの導入や運用にはコスト・リソースが必要です。
チャットボットの利用者が伸びず、想定していた効果が得られない場合、コスト・リソースばかりが取られる状況に陥ります。結果、廃止せざるを得ないケースがあります。
利用者を増やすためには、先にご紹介した「LOHACOのマナミさん」のように、ユーザーに親しみを持ってもらえる工夫が必要です。
ユーザーが納得する回答をできないチャットボット
2つめの失敗事例は「ユーザーが納得する回答をできないチャットボット」です。
「3-2. チャットボットの選び方次第では役立たない」にて、
“導入するチャットボットを役立つものにしたければ、「チャットボットに何をしてほしいのか」を明確にし、その目的に見合ったチャットボットを見極めて選ぶ必要があります。”
とお伝えしました。
目的に合ったチャットボットを導入していない場合、結局のところユーザーが納得する回答をできず、ユーザーにストレスを与える結果になりがちです。
本来、ユーザーの手間を省く役割を果たすべきチャットボットが、「的外れな回答しか返ってこない」「結局、カスタマーセンターに連絡しなければならず二度手間になった」と、ユーザーの不満を生み出す原因になってしまいます。
このような失敗を回避するための導入方法については、後ほど「6. 企業でチャットボットサービスを導入する流れ」にて解説します。続けてご覧ください。
なお、さらに失敗事例をご覧になりたい方は「チャットボット 失敗」をあわせてご覧ください。
5. チャットボットの2つの作り方
「チャットボットを作りたい」と思ったら、どうすれば良いのでしょうか。作り方は大きく分けて2つあります。
5-1. チャットボットサービスを利用する
1つめは「チャットボットサービスを利用する」やり方です。
一般的な企業でチャットボットを導入する場合は、通常このチャットボットサービスを利用するやり方を採用します。
多くのITベンダーがチャットボットサービスを提供していますので、自社の用途に合ったサービスを選んで利用します。
具体的な導入の流れはこの後「6. 企業でチャットボットを導入する流れ」にて解説しますので、続けてご覧ください。
5-2. プログラミングして開発する
2つめは「プログラミングして開発する」やり方です。
社内にエンジニアがいる企業や、プログラムの勉強を兼ねて自分で作ってみたいという自営業の方は、既存のチャットボットサービスを利用せずに、自力でチャットボットを開発する選択肢もあります。
詳しくは「チャットボットの作り方 NLPとAI(機械学習・ディープラーニング)を応用」をご覧ください。
注意点としては、企業のカスタマーサポートなど、回答精度や操作性、レスポンス速度等が重要な用途で使うチャットボットには、自力での開発はおすすめできません。
一般企業でチャットボットを導入する場合には、技術力の高いITベンダーが開発した既存のチャットボットで、他社での導入実績があるサービスを利用しましょう。
なぜなら、すでにバグ(不具合)の改修が済んでおり、一定以上の品質が保証されているからです。機能性や使いやすさの点でも、ブラッシュアップされています。
これがイチから自社開発となると、エンドユーザーに必要最低限の満足を届ける品質までたどり着くだけで、膨大な時間とリソースが割かれてしまいます。既存のチャットボットサービスを利用したほうが、ずっと効率的です。
6. 企業でチャットボットサービスを導入する流れ
貴重でチャットボットサービスを導入する場合には、具体的にどうすれば良いのでしょうか。ここでは全体の流れをご紹介します。
6-1. ステップ1:導入前の準備
まずは、導入前に準備を行います。チャットボットの最終的な成果が左右される重要なステップです。チャットボットを導入する目的・用途や要件を明確にします。
やり方としては、「6W2H」のフレームワークを使うと、スムーズに求めるチャットボットを具体化しやすくおすすめです。
チャットボットを「何を(What)」「誰が(Who)」「誰に(Whom)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「なぜ(Why)」「どうやって(How)」「いくらで(How much)」の8つの視点で整理し、具体化しましょう。
▼ 例:チャットボットの6W2H
何を(What) | サービスに関するFAQ |
誰が(Who) | カスタマーサポート事業部 |
誰に(Whom) | サービスのエンドユーザー |
いつ(When) | 2021年4月1日から |
どこで(Where) | 自社ECサイト |
なぜ(Why) | 顧客の満足度向上 |
どうやって(How) | 高精度のAIチャットボットを利用 |
いくらで(How much) | 初期費用50万円・月間料金10万円 |
ほかに必ず満たさなければならない条件(基幹システムとの連携やセキュリティ要件など)も、この段階で洗い出しておきます。
6-2. ステップ2:選択(種類・サービス・ベンダー)
どんなチャットボットが必要か具体化できたら、次はどのチャットボットを導入するか、選択するフェーズに入ります。
具体的にはまず「チャットボットの種類」を比較検討して、最適なものを選びます。
種類の選び方について詳しくは「チャットボット 種類」にて解説していますので、そちらをご覧ください。
種類が選べたら、その種類に合ったチャットボットサービスの中から、ベストな選択肢を探ります。機能性・信頼性・使いやすさ・保守性・提供元のベンダーなど、さまざまな観点から総合的な判断をしていきましょう。
おすすめのチャットボットサービスについては、この後「7. おすすめのチャットボットサービス」にてご紹介します。続けてご覧ください。
6-3. ステップ3:要件定義
導入するチャットボットサービスが決定したら、提供元のベンダーとの間で要件定義を行います。
基本的にはベンダー側が主導で要件定義書を作ります。自社側でやるべきことは、ベンダーからのヒアリングに対し正確な回答をすること・目的達成に必要な要件を要求することです。
要件定義が誤っていてやり直しが発生すると、場合によっては追加費用がかかってしまいます。希望していた納期に間に合わないこともあります。ロスを防ぐために、慎重に定義を行いましょう。
具体的には、社内の各部署にヒアリングを行うこと、導入企業側でもチャットボットサービスのシステム機能を理解したうえで必要な要求を行うことが大切です。
6-4. ステップ4:チャットボットの準備
要件定義が完了し、チャットボットサービスのシステム面が整ったら、いよいよ導入に向けての準備に入ります。
どんなチャットボットを導入するかによって具体的な作業は変わってきますが、どのチャットボットでも共通して行うことは「チャットボットに必要な知識をインプットすること」です。
例えば、Q&Aの質問と回答をExcelで準備したり、回答できなかった場合の回避方法(人間のオペレーターにつなぐ、問い合わせメールフォームに誘導するなど)を決めたりします。
加えて、「運用するスタッフのトレーニング」も必要です。チャットボットサービスの管理画面の使い方やトラブル発生時の対応フローなど、実際の運用で行う業務をマスターしておきましょう。
6-5. ステップ5:導入・運用
準備が整ったら、いよいよ導入して運用スタートです。
チャットボットは、導入して完成というタイプのシステムではないことを、しっかり押さえておきましょう。実際にエンドユーザーとチャットボットが会話を重ねていく過程で、必ず修正が必要な箇所が出てきます。
小まめに修正に対応し、チャットボットの精度を上げていくことで、本当に役立つチャットボットへと成長していきます。チャットボットは、運用しながら育てていくイメージを持ってください。
しっかりメンテナンスしてチャットボットの精度が上がっていけば、どんどん手間がかからなくなり、自走できるようになっていきます。
チャットボットを導入するうえでの比較検討や、導入の実践手順については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
7. おすすめのチャットボットサービス
チャットボットサービス選びの参考になる、おすすめのチャットボットサービスをご紹介します。
7-1. 無料のチャットボットサービス
無料で使えるチャットボットサービスを2つ、ご紹介します。
Repl-AI
出典:Repl-AI(レプルAI)
『Repl-AI(レプルAI)』は、無料で使えるAI搭載型のチャットボットです。AIありなのに無料で使えるチャットボットは珍しく、AIチャットボットを試したい方におすすめです。
注意点として『Repl-AI』のサービスは2021年3月31日に終了します。それ以降も続けて利用したい場合には、NTTドコモから提供されるSUNABA(無料)、ドコモAIエージェントAPI(有償)への移行が必要です。詳しくは「お知らせ|AIチャットボット作成サービス『Repl-AI』」にてご確認ください。
チャットボット名 | Repl-AI(レプルAI) |
企業名 | インターメディアプランニング株式会社 |
強み | 無料で使えるAI搭載チャットボット |
おすすめ用途 | カスタマーサポート、社内ヘルプデスク |
料金 | 0円〜 |
URL | https://repl-ai.jp/ |
any bot
出典:anybot
『anybot』は、導入のしやすさを重視しているチャットボットです。約3分で設定完了の手軽さが魅力となっています。
デスクトップのWebページ用のチャットボットであれば無料で利用できますので、まずはコストをかけずに試してみたい方におすすめです。
チャットボット名 | anybot(エニーボット) |
企業名 | エボラニ株式会社 |
強み | 導入しやすい(約3分で作成可能) |
おすすめ用途 | カスタマーサポート |
料金 | 0円〜 |
URL | https://anybot.me/ |
無料のチャットボットサービスについて、ほかのサービスも知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
7-2. 有料のチャットボットサービス
次に有料のチャットボットサービスをご紹介します。
Neurox チャットボット
『Neurox チャットボット』は、株式会社SPJが提供するAIチャットボットで、文章の校正システムにも使われるほど日本語の意味解釈力が高いAIを搭載しているのが特徴です。
お客様の満足度の向上や業務の効率化など、目指す目標を確実に達成したい場合には、ぜひ選んでほしい高精度のチャットボットがNeurox チャットボットです。
「ユーザーに愛用してもらえる、賢いAIチャットボットを導入したい」
「本当に業務を効率化できる優秀なチャットボットを選びたい」
…という方におすすめのAIチャットボットが『Neurox チャットボット』です。
チャットボット名 | Neurox チャットボット |
企業名 | 株式会社SPJ |
強み | 世界最高レベルの意図解釈機能 |
おすすめ用途 | カスタマーサポート、採用支援、社内ヘルプデスク |
料金 | 非公開(要問い合わせ) |
URL | https://spjai.com/service/ai-bot/ |
有料のAIチャットボットサービスについてさらにチェックしたい方は、以下の記事がおすすめです。
8. チャットボット導入を成功させる2つのカギ
企業がチャットボットを導入するとき、どうすれば成功できるのでしょうか。成功させる2つのカギをご紹介します。
8-1. 導入前に目的・用途を明確化する
1つめのカギは「導入前に目的・用途を明確化する」ことです。
チャットボットの導入に失敗するケースとして多く見られるのが、
「チャットボットの導入自体が目的化してしまい、チャットボットで具体的に何をしたいのか曖昧なまま、導入プロセスを突き進んでしまった」
というケースです。
「チャットボットは、導入さえすれば何でもしてくれる魔法のツール」といった誤ったイメージを抱いてしまうと、このような失敗を犯しがちです。
確かに、AI技術の発展によってチャットボットは高性能化していますが、それでも少なくとも現段階では、人間がコントロールして使うツールの1つでしかありません。
チャットボットで何をしたいのか、できる限り具体化して、その目的に沿ったチャットボットを導入することが成功の秘訣です。
具体化する方法としては、「6-1. ステップ1:導入前の準備」でご紹介した6W2Hのフレームワークがおすすめです。
8-2. 導入後の保守運用を重視する
2つめのカギは「導入後の保守運用を重視する」ことです。
これも「導入さえすれば何でもしてくれる」という誤ったイメージからくるものですが、チャットボットは導入後の保守運用こそ重要なことは、あまり知られていません。
チャットボットは、エンドユーザーにたくさん使っていただきながら、その会話データをもとに改良を重ねて育てていくプロセスが非常に重要です。
具体的に実践したいポイントは2つあり、1つめは社内に運用担当者を置いてメンテナンスに必要なリソースを確保すること、2つめは保守運用サポートが手厚いベンダーを選ぶことです。
保守運用をしっかりすれば、チャットボットはどんどん賢くなり、エンドユーザーと適切なコミュニケーションが取れるようになります。
9. チャットボットで注意したい2つのポイント
最後に、チャットボットで注意したい2つのポイントをご紹介します。
9-1. 高精度のチャットボットを選ばないと手間が増える
1つめの注意点は「高精度のチャットボットを選ばないと手間が増える」です。
というのは、精度の低いチャットボットを選んでしまうと、チャットボットの精度が追いつかない部分のフォローをすべて手動で行う必要があるのです。
例えば、高精度のチャットボットなら、エンドユーザーのさまざまな言葉の揺らぎや言い換え表現を賢く解釈して、意図を的確に読み取ることができます。
ところが、精度の低いチャットボットでは、ひとつずつ手動で登録しておかないと、チャットボットが対応できません。
運用後のメンテナンスの手間を考えると、高精度のチャットボットを選んでおくに越したことはありません。具体的には、高精度のAI搭載のチャットボットを選びましょう。
9-2. 精度の低いチャットボットの放置は逆効果になる
2つめの注意点は「精度の低いチャットボットの放置は逆効果になる」です。
前述のとおり、チャットボットの効果を最大化するためには運用保守が非常に重要で、導入後のメンテナンスが成功のカギを握ります。
メンテナンスできずに、エンドユーザーと適切な会話ができないチャットボットなら、設置しないほうが良いでしょう。
エンドユーザーに「バカなチャットボットだ!」「まったく欲しい答えが返ってこない」とストレスを与えてしまうと、ブランドイメージの毀損や商品満足度の低下につながってしまいます。
チャットボットを導入すると決めたなら、エンドユーザーと的確なコミュニケーションを取れるチャットボットを育てるところまでを必達ゴールとして、スケジューリングやチャットボットサービス選びを行うことが重要です。
10. まとめ
チャットボットとは、チャット形式で自動会話できるプログラムのことです。
チャットボットの高性能化とコロナ禍における働き方や接客のあり方の変化に伴い、導入する企業が急増しています。
メリット
チャットボットのメリットとしては、以下が挙げられます。
- 大幅な業務効率化が実現する
- 顧客満足度が向上する
- ユーザーリサーチに活用できる
- 使い方次第で多種多様な課題を解決できる
デメリット
チャットボットのデメリットとしては、以下が挙げられます。
- 導入・運用のためのリソース・コストが必要になる
- チャットボットの選び方次第では役立たない
導入の流れ
一般企業がチャットボットを導入する場合には、チャットボットサービスを利用する方法がおすすめです。導入の流れは、以下のとおりです。
- ステップ1:導入前の準備
- ステップ2:選択(種類・サービス・ベンダー)
- ステップ3:要件定義
- ステップ4:チャットボットの準備
- ステップ5:導入・運用
チャットボット導入を成功させるカギは、導入前に目的・用途を明確化すること・導入後の保守運用を重視することです。
チャットボットで注意したいのは、高精度のチャットボットを選ばないと手間が増えること・ 精度の低いチャットボットの放置は逆効果になることです。
本当に効果を発揮できる、役立つチャットボットとしては高精度AIを搭載した『Neurox チャットボット』をおすすめします。ぜひお気軽にこちらの無料相談・お問い合わせページからお問い合わせください。